腰痛とおさらばしたい!
カラダ 2022/04/19 1491 views
腰痛は、病気や怪我のなかで男性では1番目、女性でも肩こりに次いで2番目に訴えの多い症状で、その数は増加傾向にあると言います(厚生労働省の平成28年国民生活基礎調査)。デスクワークや家事、運動不足など、腰痛を引き起こす原因にはさまざまなことが挙げられます。今回は腰痛について、沖縄統合医療学院の鈴木先生にお話を伺いました。記事の後半には、腰痛につながる行動リストや痛みを和らげる(予防する)ストレッチやツボなどを紹介しているので、ぜひご覧ください。
鈴木 信司先生
専門学校沖縄統合医療学院学校長。博士(医学)。早稲田大学大学院スポーツ科学研究科、琉球大学大学院医学研究科博士課程修了。第49回日本伝統鍼灸学会学術大会会頭。医療現場にて豊富な臨床経験を積み、東京での大学教員を経て、2011年に沖縄初の鍼灸学科開講を実現させる。治療者、教育者、研究者として、日本鍼灸を世界各国に広めるべく活動中。潜水士や学芸員などの国家資格を有し、趣味も多種多様。座右の銘は、「一期一会」。
多くの腰痛は、生活習慣が原因
―そもそも、どうして腰痛は起こってしまうのでしょうか?
ほとんどの腰痛は、日々の生活習慣や食生活、心の状態など、日常生活で起こる小さな要因が複雑に合わさって発症しています。例えば、デスクワークで長時間座ることが多い、身体を冷やしてしまう食べ物を多くとっている、ストレスがたまっているなどです。また、運動不足で筋肉量が落ちたり、柔軟性が低下してしまうと、背骨を支えられなくなってしまうことも腰痛に繋がります。身体を支える要である腰には、想像以上に負担がかかっているので、筋肉疲労がたまり、ちょっとしたことが引き金になって、ギックリ腰になることもあります。
―腰痛はなぜ慢性化しやすいのでしょうか?
一概には言えませんが、主な原因として「痛みの悪循環」が挙げられます。痛みがでることで、交感神経という身体の緊張を高める神経が興奮してしまい、筋肉がこり固まってしまいます。すると、血管が収縮し、血流が悪化し、筋肉に栄養が上手く供給されず、老廃物が溜まり、組織への障害が起きてしまいます。そして、発痛物質という痛みを発する物質が組織の中にたまってしまい、痛みを誘発するというループが起こるのです。
あなたは大丈夫?日常生活、腰痛危険度チェック
―腰痛の原因になる生活習慣は、具体的にどのようなものがありますか?
下のリストは、どれも腰痛の原因になるものです。当てはまるものがあったらチェックしてみてください。
□長時間座ったり、同じ姿勢をとっている
□重い荷物を持つことが多い
□冷え性である
□運動不足だと感じている
□食生活が乱れている
□ストレスがたまっている
□姿勢が悪い方だ
□疲れがなかなかとれない
□睡眠不足だと感じることが多い
あなたはいくつ当てはまったでしょうか?気になる結果ですが、上記の項目に一つでもチェックが当てはまり、腰の痛みを感じている方は、一度、鍼灸院や接骨院、医療機関を受診されることを勧めています。というのも、腰痛になる原因が多様だからこそ、原因をしっかり確かめて、必要であれば治療を受けた方がいいからです。また、稀に病気が潜んでいる可能性があるのも受診を勧める理由の一つでもあります。
無理のない範囲で継続的に運動をすることが大事!
―腰痛を予防する、または和らげるのに大切なことは何でしょうか?
ズバリ、運動習慣を取り入れて、血行を良くすることです。無理なく続けられる範囲でいいので、できれば毎日身体を動かす時間を作ることをおすすめしています。例えば、下記のようなメニューです。
①腹筋、背筋(各10回)※慣れてきたら、無理のない範囲で回数を増やしてもよい
②腰ひねりのストレッチ(左右各30秒)
仰向けになって左ひざを右足の上にかけ、身体をひねった状態で30秒キープ
(顔は左を向く)
腹筋や背筋の運動はアウターマッスルとインナーマッスルの両方を鍛えるため、腰への負担が軽くなります。また、腰ひねりのストレッチは、腰痛を緩和してくれるもの。ベッドでも行えるので、ぜひ取り入れてみてください。血行が良くなっているお風呂上がりがおすすめです。
また、筋トレやストレッチにプラスしておすすめなのが、ツボ押しです。背中にある腎兪(じんゆ)、志室(ししつ)、大腸兪(だいちょうゆ)は、腰痛に効くツボです。また、膝の裏の中心にある、委中(いちゅう)というツボも、腰痛に効くといわれています。押す時は、ツボに対して垂直に数秒間、持続的に行ってください。
鍼灸院や接骨院では、ツボを使ったはりやお灸に加え、手技療法や物理療法などいろんな治療法を行っています。腰の痛みがある方は、まず病気でないかを検査を受けて、自分に合った治療や運動を取り入れましょう。