沖縄に多い、アタマジラミに要注意

カラダ 2025/03/25 136 views

 人の頭髪に寄生して、吸血することで頭皮のかゆみや湿疹などを引き起こすアタマジラミ。沖縄県内でも通年発生していますが、実は治療薬が効かない「抵抗性」のアタマジラミが大流行しています。この記事では、アタマジラミの特徴や治療法について、皮膚科医でアタマジラミの治療・研究を行なっている山口さやか先生に教えてもらいました。

アタマジラミの特徴や駆除法とは? 

 そもそもアタマジラミとは、髪の毛に寄生する寄生虫の一種。成虫は2〜3ミリほどの大きさで、寿命は1ヶ月ほど。メスは100個もの卵を髪の毛に産みつけます。髪の毛同士が触れれば簡単にうつるので、頭をくっつけて遊んだり、昼寝やお泊まり保育などがある保育園に通う園児や小学校低学年の児童などを中心に子どもたちの間で集団発生します。また、季節に関係なく年中発生するのが特徴で、子どもだけでなく、その子どもと生活を共にする大人でも感染します。
 自覚症状は、寄生初期の子どもの場合はほとんどなく、寄生する数が増えると次第に痒がるようになることが多いほか、中には、頭皮をかきすぎて炎症を起こすケースもあります。
 治療方法は、アタマジラミ駆除薬の入った市販の専用シャンプーやローションを購入し、自宅で2週間ほど洗髪するのが一般的です。駆除薬は卵には効かないので、2日おきにシャンプーします。それ以外の方法は、頭髪の長い子どもは髪を短くしたり、専用のすきぐし(ブラシ)でこまめに髪をとき付着した卵を落とします。また、枕カバーやシーツなどは毎日洗うなどして、卵やシラミが増えにくい環境を作ることも大切です。炎症があるなど困ったことがあれば臆せずに皮膚科医に診てもらうことも重要です。

沖縄で流行しているアタマジラミとは?

沖縄で流行している抵抗性アタマジラミとはどのようなものなのでしょうか。
「沖縄県内では2000年ごろから治療専用のシャンプーを使用しても効果が出ない“抵抗性”のアタマジラミが流行しています。他県では抵抗性アタマジラミの検出は10%に満たないのですが、沖縄では95%と特に高く、その原因はわかっていません。県内には、治療用シャンプーを使用してもなかなか治らなくて困っている家庭が多いのではと心配しています」と山口先生。
 山口先生によると、アメリカですでに広く使用され、抵抗性シラミにも効果が確認されている新しい治療薬があるといい、日本国内でも保険診療で処方できるようにするための治験を、製薬会社と協力して進めています。現在、沖縄県限定で治験に協力いただける家庭を募集しているとのこと。
「シャンプーを使っても治らずお困りのご家庭は、ぜひ治験へのご協力をご検討ください。この治験で新しい薬が認可されれば、保険診療で処方できるようになります。現在、市販のシャンプーは3000円程度の自己負担が発生しますが、処方薬となれば中学生以下の医療費の自己負担は0円となり、保護者の負担や心配も解消できるはずです。沖縄の子どもたちはもちろん、未来の子どもたちをアタマジラミの感染症から守ることにつながります」と山口先生。
 アタマジラミは痒みがひどくなることで不眠につながることや、炎症部分から細菌による感染症を起こす可能性もあるので、早期発見と速やかな治療が必要です。お子さんの頭皮に卵がないかチェックすることや、困ったことがあれば皮膚科を受診しましょう。

■治験に関する情報はこちら

治験応募専用コールセンター:0120(907)902
https://www.searchmytrial.com/lp/headlice/?sid=2928&utm_source=offline&utm_medium=newspaper&utm_campaign=kk_headlice_202504


(アタマジラミの成虫 ※提供)
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監修   
琉球大学大学院医学研究科・皮膚科
山口さやか 先生
日々、さまざまな皮膚疾患の治療に携わる。専門は皮膚感染症。特に、アタマジラミの治療・開発に力を入れている。
https://hifuka.skr.u-ryukyu.ac.jp/

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