いつでもどこでもストレッチ!
カラダ 2023/11/06 441 views
ずっとデスクワークをしていて肩や首がこった時、ぐるぐる回してみるなど、日常生活の中で自然とストレッチをしていることは多いかもしれません。無意識に取り入れるのはもちろんOKですが、意識して効果的に取り入れれば不調の予防にも解消にもつながります。ストレッチの基本的な知識と習慣化のヒントについて、日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナーであり、ロクト整形外科が運営するメディカル&コンディショニングセンター(https://rokuto.com/news/3605/)の上里慎一郎さんにお話をうかがいました。
ストレッチをするのは何のため?
そもそもストレッチをする目的と、その効果にはどんなものがあるのでしょう。
「ストレッチをすると身体がやわらかくなる、と言われますが、細かく言うと、筋肉と関節がやわらかくなるんです。そうすると可動域(筋肉や関節を動かす範囲)が広がるので、例えばスポーツにおいて能力をより発揮できるようになったり、日常生活でも、こりによってどこかが痛むことがなくなるメリットがあります。また、筋肉を動かすことにより全身に血が巡るので、血流も良くなります。そうすると、こりやむくみなどの血行不良による不調の解消にもつながります。血の巡りの良さは健康でいるための重要な要素なので、広く捉えると、ストレッチをすると健康になるとも言えると思います」。
筋肉や関節がこり固まっていると、可動域が極端に狭まってしまい、日常生活において支障が出ることもあるとのこと。その分かりやすい例が、ぎっくり腰。普段あまり運動をしていなかったり、加齢により、こり固まった状態で急に荷物を取ろうとした時に、可動域が極端に狭い状態だったため筋肉を痛めてしまい、その部位を動かすことができなくなってしまいます。また、上里さんはスポーツチームのトレーナーを務める中で、選手にストレッチを徹底してもらうのは、パフォーマンスを上げられるからということ以上に、ケガの予防に役立つからとのこと。こうした指導の裏に見えてくるのは、「いつ行うか」という点です。
いつでも「その前に!」を意識して
スポーツの場合は行う前後にストレッチをしますが、それぞれ役割が違うとのこと。ストレッチには動的ストレッチ、静的ストレッチの二種類があり、簡単に言うと動的ストレッチは準備運動。筋肉や関節の動きをより良くして、パフォーマンスを上げるために行うもの。一方、静的ストレッチはスポーツが終わった後のクールダウン。使った筋肉を伸ばして正常な状態へ戻す役割があります。
日常生活において取り入れたいのは主に静的ストレッチで、行うタイミングとしては、いつでも「予防」を意識することが大切だと上里さんは言います。
「不調を感じてからストレッチをすると、まず正常な状態に戻すのに時間がかかってしまうので、筋肉が少しほぐれたかなと思っても、同じ姿勢をとり続けるとすぐにまた不調を感じるようになってしまいます。でも、不調を感じる姿勢や行動をする前にストレッチをするようにすると、筋肉がほぐれた状態でスタートするので予防ができるんですね。なので、不調ケアのためのストレッチは、不調を感じる前に行うことを習慣づけるといいと思います」。
仕事や授業のスタート時に肩や首を1〜2分、回すようにしたり、ちょっとした休憩やお昼の時間には必ず1分のストレッチを取り入れるようにするなど、仕事や勉強、家事のルーティンに合わせてストレッチをする時間を組み込んでしまうことで、習慣化しやすくなります。
また、ストレッチは身体が温まったタイミングで行うのも効果的。身体が温まっている=筋肉も温まっている状態なので、動きがスムーズになり、伸びやすいとのこと。入浴後は筋肉が伸びやすいベストタイミングです。逆に朝起きてすぐのストレッチは注意が必要です。寝ている間は身体を動かしていない上にずっと同じ体勢で横たわっていたので、身体はかたまった状態です。朝に身体を目覚めさせるためにストレッチをする場合は、ゆっくり無理をせずに行うことが大切です。
特別な器具を使わず、場所を選ばないストレッチは日常生活への取り入れやすさはナンバーワン。1回あたりに伸ばす時間を長くしすぎなければ、1日に何回やってもOK。”痛気持ちいい”レベルで続けていきましょう!