運動効果をUPさせる食事の取り方

栄養バランスの整った食事が、身体づくりや健康づくりに大切だということは知られていますが、運動する場合、どんな風に栄養を摂り入れたら良いか悩みませんか?
運動している人やこれから運動をしたいと思っている人も必見!
運動に効果的な食事のポイントを、管理栄養士の友利由希さんに教えてもらいました。

沖縄県内で活躍中の管理栄養士、友利由希さん

管理栄養士。日本スポーツ協会公認スポーツ栄養士。那覇市のロクト整形外科勤務。肥満(ダイエット)・骨粗鬆症・筋力UPに関する栄養指導や料理教室をはじめ、スポーツ選手への栄養指導やサポートを行うなど、多岐に渡る分野で活躍中。

運動する人は、どんなことに気をつけたほうがいい?

私たちが日常生活を送る上で欠かせないエネルギー源である食事。身体の中では、食べたものを消化・吸収し、取り入れた栄養素によって、動くためのエネルギーを得たり、皮膚や筋肉、細胞などをつくったり、臓器の働きや調子を整えています。
栄養素を大きく分けると、三大栄養素の「炭水化物・脂質・たんぱく質」、微量栄養素の「ビタミン・ミネラル」がありますが、栄養素は身体の中で単体で働くわけではなく、互いに助け合って働くため、バランスよく食事を摂ることで、身体の健康が保てるのです。
そのため、例えば野菜や果物に含まれるビタミン・ミネラルなどの栄養素が不足すると、口内炎ができたり、肌荒れしたりと、身体に不調が出ることがあります。

「運動している人なら尚更、栄養を意識して食事を摂ることで、効率よく疲労を回復し、運動効果をうまく発揮することにも繋がりますよ」と友利さん。
運動をすると筋肉疲労を起こしたり、激しい運動によって筋肉が傷ついたりすることがあります。筋肉は、主にたんぱく質でできているので、食事でたんぱく質を摂ることで筋肉をケアしたり筋力アップをはかることができます。また、運動をする人はエネルギー消費量が多くなることから、エネルギーの元となるご飯やパンなどの炭水化物と、エネルギーを作るときに必要なビタミンB群など、バランスのとれた食事が疲れた身体を回復に導いてくれます。

もし、運動した翌日以降もしばらく疲れが取れないという人は、kenko ISLAND59号で紹介した疲労回復メニューを試してみるのもオススメですよ。

運動する前や後の食事のコツは?

「食事の摂り方として大切なのは、主食・主菜・副菜が揃っていること。そこに運動で不足しがちな果物や乳製品を加えることで栄養バランスが整いやすいです」と友利さん。
タイミングやケース別に、食事の取り方を伺いました。

●長時間運動をした後の食事のポイント

例えば、長時間の運動をした後、手軽に効率よく疲労回復したい!という人の食事におすすめなのが、「マグロのピリ辛丼」。
「高タンパクで比較的脂肪分の少ないマグロは、タンパク質を効率よく補給するのにおすすめ。鉄分も豊富に含まれているので、スタミナが必要な運動をしている人、より持久力をアップしたい人、貧血を予防したい人も、オススメですよ」

マグロのピリ辛丼 〜韓国風〜

●運動後、食事の時間が夜遅くなる時のポイント

また、仕事終わりや夜に運動するという人は、夕飯の時間が遅くなってしまうこともあります。そんな場合は、低カロリーな「豆腐生ハムサラダ」はいかがですか。「豆腐などの大豆製品は、体の疲れを回復してくれるアミノ酸が豊富。トマトやオクラをトッピングすることで、不足しやすいビタミンCやビタミンB群を補給することができます」。
食事の時間が夜遅くなってしまうと、逆に太らないか?という心配もありますよね。その場合オススメの方法の一つとして、夕方や運動をする前に、おにぎりやパンなどといった炭水化物をとること。その分、夕飯はご飯以外のおかずで軽く済ませるという風に、食事を2回に分けることで、夜遅い時間は食べすぎないようにします。

豆腐生ハムサラダ

●運動前の食事の取り方のポイント

「基本的には、運動開始2〜3時間前までに主食・主菜・副菜の揃った食事を済ませておくのがポイントです。食事をした直後に運動すると、胃もたれやパフォーマンスが下がってしまうことがあるので、もし運動開始までに食事する時間がない時は、サンドイッチや、バナナ、ゼリーなど、吸収しやすく、胃に負担のかからない糖質(エネルギー源)を中心に、軽めにチャージしましょう」。

動画でも紹介しているヨーグルトフルーツサンドは、運動前だけでなく運動後や朝食にもおすすめ。たんぱく質をたっぷりと含んだヨーグルトと、オレンジやキウイにはビタミンC、クエン酸などが含まれているので、運動前の栄養チャージや、運動後の疲れを癒すのにもGOODです。

最近流行りのプロテイン入り商品、
取り入れる時に気をつけたいポイントとは?

コンビニやスーパーで、最近見かけることが多くなった「プロテイン」の商品。プロテインバーやドリンク、チョコレートなどのお菓子でも登場しています。
近年の健康食ブームに加え、コロナ禍やステイホームによって運動を始める人が増えたことや、健康志向が高まっていることがプロテインに注目が集まる要因の一つになっているようです。
プロテインはタンパク質のことで、筋肉だけでなく、皮膚や爪、髪の毛などをつくったりするのにとても必要なもの。体の細胞をつくることから、美容にも良いと、若い女性の間でも取り入れる人が増えているそうです。

「アスリートや高齢者などもそうですが、食事だけでタンパク質が十分に摂れない時のサポート役としてよく利用されていますね。とても手軽な商品が増えているので、忙しくて食事がとれないという方や、運動後の補給として選択肢の一つに入れるのは良いかもしれません」と友利さん。
ただし、注意も必要。
プロテインが入っているからといって食べ過ぎてしまうと体重増加だけでなく肝臓や腎臓に負担をかけてしまうこともあると言われています。最初に述べたように、「主食・主菜・副菜・果物・乳製品」が揃った食事をとることで一日に必要なタンパク質は食事からとることができます。食事が難しい時の選択肢の一つとして、バランスが偏らないよう上手に付き合いましょう。

今回紹介したレシピをはじめ、これまでkenko ISLANDの誌面で紹介したレシピは、簡単に作れてタンパク質やビタミン類などの栄養素が豊富なものばかり。kenko ISLANDのYouTubeチャンネルを、ぜひチェックしてみてください。

目のケアや健康維持に大切な栄養とは?

「目の疲れ」をテーマに、疲れの原因や予防・改善方法などを紹介した58号。恒例のレシピページでは、目の疲れ予防だけでなく、おいしくて元気になる、そして簡単に作れる料理を管理栄養士の高良江里奈さんに教えてもらいました。この記事では、紹介したレシピの中から目のケア以外にも期待できる栄養のポイントをお伝えします!

βカロテンたっぷりキンパ

彩りキンパ

彩り華やかなキンパに使われる小松菜やにんじんなどの野菜には、βカロテンがたっぷりと含まれています。βカロテンは、体や細胞の老化を防ぐ抗酸化作用があり、ストレスを受けやすい現代人にとって大事な栄養素の一つと言われています。
また、ビタミンAに変わる性質があり、目や口などの粘膜や皮膚の健康、視力の維持などに関わる働きをします。ただし、ビタミンAは毎日過剰にとると健康障害を起こすことがあるそう。なので、βカロテンを含む野菜を選ぶようにすることで、必要以上にビタミンAをとるのを防げるのでおすすめです。

中医薬膳指導員の資格を持つ高良さんによると、にんじんは目の健康に良いと言われているそうです。これは、「以臓補臓(いぞうほぞう)」といい、臓器や体の部位の形に似ている食材を食べると、その部分の機能や栄養などを補ってくれるという薬膳の考えに基づくもの。
キンパは作り方がシンプルな上、野菜が苦手な人でも食べやすくておすすめです。

食べ応え抜群!ポリ袋を使った簡単つくね

枝豆コーンのつくね

枝豆やコーンの食感が楽しめるつくねには、疲労回復ビタミンとも呼ばれるビタミンB1が豊富な枝豆や豚肉が使われています。特に、枝豆(大豆類)には、視神経の働きを助けたり充血や目の疲れを改善すると言われるビタミンB1やB2が多く含まれています。また、目の疲れに限らず、体の疲れを癒すにはタンパク質も大切。つくねは卵黄と合わせることで、さらに良質なタンパク質をとることができます。

また、「豆乳を使ったじゃがいものポタージュ」も同様に、大豆のビタミンB群が含まれていることや、じゃがいもに含まれるビタミンCは、ストレスや風邪に対する抵抗力をアップしたり毛細血管や歯などの健康を正常に保つ働きがあるといわれています。
ミキサーがなくても鍋でコトコトと煮ることでポタージュっぽくなるので、家にある調理器具で作ることができます。

玉ねぎとじゃがいもの簡単ポタージュ

抗酸化作用のある食材も欠かさずとりたい!

アボカドと豆腐サラダ

今回紹介したレシピの中でも、抗酸化作用のある食材がいくつか登場しました。抗酸化作用とは、老化や動脈硬化、がんなどの原因になると言われる「活性酸素」を防いでくれるもので、アンチエイジングの観点からも注目されています。老化を防いで、疲れを溜めにくくしてくれるので、お仕事などで忙しい人や、健康的な体づくりをしたい人には大切な要素の一つです。

抗酸化作用のある栄養素は、にんじんや小松菜に含まれるβカロテン、アボカドに含まれるルテイン、トマトに含まれるリコピン、ブルーベリーに含まれるアントシアニンなど様々。上で紹介したビタミンCも抗酸化作用が認められていて、特にフルーツや色の濃い緑黄色野菜に多く含まれています。

シンプルで簡単に作れる「アボカドと豆腐サラダ」や「山芋ふわふわ焼き」、「ブルーベリーのヨーグルトシャーベット」は、食事のプラス一品や、栄養のとれるおやつとしてもGOOD。ぜひ試してみてください。

公式マスコット「わお」って?