白湯のちから

健康にいいとされる白湯は、身体を温めるだけでなく、便秘の改善やリラックス効果など嬉しいことがたくさんあります。飲む時間帯や飲み方など、正しく効果を得るために意識したいポイントについて日本アーユルヴェーダヘルスカウンセラーの知念伽央梨さんに教えてもらいました。

白湯の効果

「アーユルヴェーダ」は、心身に不調が起こったときに、その人の体質に合った方法で対処をするというインドの伝統医学。体にいいと謳われる白湯もアーユルヴェーダの考えに基づいた健康法なんです。

「14世紀に記されたアーユルヴェーダの古典書『バーヴァプラカーシャ』には白湯を飲むと『カパとヴァータ、アーマと脂肪組織を減少させ、食欲を強め、膀胱を浄化し咳と呼吸困難と新しい熱病を癒す』と書かれています。これはどういうことかと言うと、白湯を飲むことで、『倦怠感やだるさ、寝付きの悪さや目覚めの悪さの緩和』、『身体中の循環が良くなる』、『少食でも過食でもなく正常の食欲になる』、『尿の出が良くなり身体が浄化される』、『咳と呼吸困難の緩和』、『初期の発熱時に良い』ということが得られるということなんですね(参照:白湯の処方箋/日本アーユルヴェーダ研究所)」

人間にとって必要な「水」を温めて飲むことで、「消化力が上がる」と考えられています。白湯を飲むとスロータス(血管、リンパ管、胃や腸などの消化管といった身体の中にある管)の閉塞を防ぎ、消化管の中のものがスムーズに流れます。消化、吸収、代謝が滞りなく行われ、身体に不必要なものは体外へ排出されます。逆に冷たいものを摂り過ぎてしまうと、スロータスが閉じ、消化力を指す「消化の火」が燃えず食べ物がうまく消化できなくなってしまいます。また、体液がうまく循環されなくなるので毒素が溜まってしまうのです。すると老化や病気の原因になります。

「白湯を飲む最大のメリットは何と言っても『正常な食欲と消化力を得られる』こと。現代人は過度に物を食べたり、逆に必要なのに食べなかったりと「食」に関する意識が大変乱れていて、病名こそつかないけれどなんとなく調子が悪いという方もいらっしゃいます。 体が不調だと心の調子も悪くなるので、心身の健康を目指すためにも白湯は飲んでほしいですね」

教えて!効果的な白湯の飲み方

白湯とは「蓋をせずにお湯を10〜15分ほど沸かし、少し冷ましたもの」。温度は、消化器官の機能を促進させてくれる65度以上を目安にしましょう。これは、「フーフー冷ますと飲める」くらいの温度です。古代では水中の菌を殺す目的から沸騰させていたとも言われていますが、現代では電気代が気になる方は沸かす時間を減らしてもOK。一度沸かしたら、保温性のポットに入れて保管するといつでも飲めますよ。

飲むタイミングについては、「いつでも飲んでほしい」と知念さん。ただ、アーユルヴェーダでは朝一番は常温の水を飲むことを勧めている。「寝ている6〜8時間は身体が休んでいる時間ですよね。起きがけに飲む飲み物は、身体に水分を与えて少しずつ胃腸の機能を呼び覚ますという目的から、熱い白湯ではなく常温の水を選ぶといいです。白湯は2杯目以降から飲んでください。就寝前に飲む白湯は、だるさの軽減に繋がるのと、寝付きや目覚めの良さも期待できるのでおすすめですよ」。飲む量に関しても、一気にがぶがぶ飲んでしまうと身体が驚いてしまうので、ゆっくり何回かに分けて飲むのが良いとのこと。少しずつ口に含んで飲んだほうが喉の乾きも抑えやすくなるそうです。

また、体質や症状、季節によっては「湯冷まし」に変えるといいのだそう。湯冷ましとは、沸騰させたお湯を人肌くらいの温度になるように自然に冷ましたもの。フーフーしないと飲めない白湯に対して、湯冷ましはすいすい飲める温度の水です。暑がりの人や、真夏で気温が高いとき、胃腸炎や口内炎など身体のどこかが熱を帯びて炎症を起こしているときはもちろんですが、仕事に追われたり、悩み事で頭の中が熱くなったりしたときにもクールダウンとして飲んでみてください。この時、氷入りのキンキンに冷えた飲み物はNG。湯冷ましで満足できない方は麦茶やさんぴん茶、ココナッツウォーター、ミントのハーブティーなど、身体の余分な熱を取ってくれる飲み物を選んで、常温かやや冷たいくらいの温度で飲んでみてください。

湯冷ましがいいとされる夏でも、クーラーに当たりすぎて寒くなってしまった場合は白湯に切り替えるといいとのこと。体調と相談しながら、上手に飲むものを選びましょう。

知念伽央梨さん
米国補完医療大学AUCM、グジャラートアーユルヴェーダ提携 Ayur Vedic Medicine Practitioner。日本アーユルヴェーダヘルスカウンセラー。株式会社i-PLANA(アイプラーナ)代表として、沖縄県内でスパを経営。約5000年の歴史があるインドの伝統医学「アーユルヴェーダ」の魅力を伝えるべく、県内で理論やトリートメントなどを教えるスクールを展開している。
〈Instagram〉kaorichinen.8

肩こりや腰痛を予防!カンタンストレッチ

肩こりや腰痛は現代病ともいえるほど、多くの人が悩まされている症状の一つ。背中を丸めてスマホを長時間見ていたり、ずっと同じ姿勢でパソコン作業をするなど、肩こりや腰痛を引き起こす理由の一つには、姿勢が大きく関連しています。そこで、「ストレッチ専門スタジオ SSS沖縄スタジオ」チーフトレーナーの𡈽屋景麻(つちや けいま)さんに、「肩こり」や「腰痛」を引き起こす原因と、その症状を解決するために、寝ながらでもできるストレッチを教えてもらいました。

現代人の肩こりや腰痛の原因とは?

現代人が肩こりや腰痛を訴える時、姿勢や呼吸に問題があることが多く、その原因となる3つの要素について話してくれました。

「まず1つ目は、『正しい座り方を知らない』こと。小学生の頃、学校で『良い姿勢で座りましょう』と習ったと思いますが、多くの方が『正しい姿勢』について具体的に説明できないです。2つ目は、『筋力の低下』です。重力に対抗して姿勢を保つために、背中、腹筋、お尻、太もも、ふくらはぎに張り巡らされている『抗重力筋』が低下することで姿勢を維持できず、猫背になっている方が多いですね。3つ目は意外かもしれませんが『呼吸機能の低下』が挙げられます」

どうしたらいいの?肩こりや腰痛を予防するために意識したいこと

𡈽屋さんのお話によると、肩こりや腰痛にならないようにするためのポイントはズバリ「姿勢」! 「まず知って欲しいのが正しい姿勢です」と𡈽屋さん。耳と肩、脚の付け根が一直線の状態になるように座っているときが正しい姿勢だと言います。座る時は椅子に深く腰掛け、重心を前に持っていくと骨盤が安定して姿勢を維持しやすくなるとのこと。正しい姿勢では、背骨がS字を描いた形になるので胸は後ろに湾曲、首と腰は前に湾曲しています。こうすると、背骨の上に頭が乗った状態になり、筋肉に余計な負担がかからないのです。

「人の頭はボウリングの玉の10ポンド(約4.5kg)と同じくらいだと言われています。例えば、そんな重い玉をずっと持ち上げていると腕が疲れますよね。頭と首の関係で考えても同じで、重い頭を支えるのはただでさえ大変なことなのに、姿勢が悪い方は背骨の上にうまく頭が乗っていない状態になるので、首や肩の筋肉にも負荷が常にかかってしまい、筋肉が疲れてコリを感じるんです」と𡈽屋さん。

また、姿勢を正す上で呼吸も重要とのこと。普段は意識しない呼吸についても、肩や腰が痛いと感じた時は、わざと大袈裟に呼吸を何度か繰り返してみるといいと言います。「人間は体の構造的に、息を吸いながら身体を丸めることはできません」と𡈽屋さんがいうように、息を吸うと横隔膜が引き下がり、胸郭が上がります。そうすると、自然と頭の位置が後ろにいくので姿勢が安定するのだといいます。しっかり呼吸をすることは、姿勢の良さに繋がるのです。

解説!寝ながらでもできるストレッチ

教えてもらったのは、横隔膜をほぐし、呼吸を改善するストレッチ。肩こりや腰痛の予防となる「正しい姿勢」を維持するために、まずは呼吸から改善するといいます。肩こりや腰痛を改善するためにはマッサージをするといいと考えがちですが、マッサージは一時的に効くだけで根本的な解決にはならないとのこと。まずは今回紹介するストレッチから始めてみましょう!とても簡単なので、ぜひ実践してみてください。

STEP1 息を吐きながらみぞおちに指をぐーっと入れていくように押す。

STEP2 手をはなして息を吸う

目安はだいたい5秒かけて息を吸い、5秒かけて口から息を吐くといいです。吸う時間も吐く時間も均等になるように意識しましょう。慣れないうちは5秒かけて吸うことは意外と難しいですが、力いっぱいやる必要はありません。リラックスして、ゆっくり長く吸うのが大切です。また、行うタイミングはいつでもOKですが、酸素摂取量が増えて、筋肉もリラックスするので、夜寝る前に行うと睡眠の質が良くなります。また、筋肉をほぐして体を動かしやすくなるので、寝起きに行うのもオススメです。

注意したいのが、教えてもらったストレッチはあくまでも肩こりや腰痛改善の入り口だということ。改善のためには呼吸の力を鍛えるだけでなく、姿勢を維持するインナーユニットを鍛えることが大切なので、呼吸のストレッチ+簡単な運動を取り入れるとより効果的です。例えば、今回紹介したストレッチの後にインナーユニットを鍛えるドローイン(お腹を凹ませる動き)を合わせて行うのもオススメ。特に秒数に決まりはありませんが、5秒吸って5秒吐き切る目安で、吸う時間と吐く時間のバランスは一緒にするといいです。また、ちょっとした有酸素運動を取り入れるのも効果的です。まずは1日5分だけでも歩いてみたり、近所のコンビニへ行く時には車ではなく歩くように意識してみましょう。今回教えてもらったストレッチは歩きながらでもできるものなので、ストレッチを行いながら歩くのも効果的です。

𡈽屋景麻さん
ストレッチ専門店SSS沖縄のチーフトレーナー。姿勢改善にフォーカスした科学的な「Kanekoストレッチ」を考案した兼子ただし氏の教えをもとに、日々肩こりや腰痛、猫背などの悩みを解決している。

ストレッチ専門店SSS沖縄
住所/沖縄県中頭郡読谷村大湾314
TEL/098-989-7997
https://sssokinawa.hp.peraichi.com/

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