ふだんの食事で食物繊維はどれだけとれている?

腸内環境を整え、糖や脂肪の吸収を抑えてくれる食物繊維。1日に必要な摂取量は成人男性で21g、女性で18gが推奨されています。ただ、推奨量に足りていない人の方が多いという結果も。そこで、ふだんの食事で実際にどのくらいの食物繊維が摂取できるのか例を挙げて見てみましょう。

社会人3年目、20代一人暮らしの男性Aさんの場合

食事は基本的に外食や買ったものを食べることが多く、自炊はあまりしないAさん。朝ごはんはコンビニで購入することが多いそう。この日はBLTのサンドイッチとコーヒーをチョイス。

コンビニやスーパーで購入した商品には、食品表示欄に栄養成分表示がされているので、どの栄養素がどれだけ摂取できるかを知るにはとても便利です。最近では、“大麦・もち麦使用”など、食物繊維を売りにした食品も出ていますので是非チェックしてみてください。

さて、ここで摂取できた食物繊維は3.0g。1日の目標摂取量まであと17gです。

午前中の仕事をこなし、ランチは飲食店で外食。今日のメニューは沖縄そば。

沖縄そばは麺に食物繊維が含まれており、おそば1人前約230gだとすると摂取できる食物繊維量はおよそ3.5g。付け合わせのジーマーミー豆腐も大事な栄養素。1.3gの食物繊維が摂取できます。合計4.8g摂取できました。

そして午後の仕事を終え、ようやく帰宅。冷凍食品のお弁当を電子レンジで温めて食べることに。メニューはカツカレー。

野菜が少ないと食物繊維量がなかなか稼げず、ここでの摂取量は2.3g。

朝:3.0g  昼:4.8g  夜:2.3g  で本日の合計10.1g。目標値に対して10.9gも足りない結果となりました。驚くような数値になりましたが、実際のところ、Aさんのような食事をしている人は多いのではないでしょうか?

いつもの食事に食物繊維をプラスする工夫

では、足りなかった食物繊維を補うために、どんなメニューを追加すれば良いのでしょうか?「食物繊維がたくさんとれる食材&食品リスト」の記事で取り上げましたが、食物繊維が多く含まれているのは、野菜、きのこ、果物類。これらを意識してメニュー選びをするだけでぐっと摂取量を増やせます。

例えば、以下のような食材やメニューを1品プラスするだけで1日分の摂取量をクリアすることができます。

●朝食
バナナ1本をプラスして、食物繊維2.2g摂取OK。

●昼食 
沖縄そばを野菜そばに変更することで、食物繊維量が3.5gアップ。

●夕食
カレーの副菜としてお馴染みのピクルスを選んで2.8gプラス。

さらにデザートにキウイ1個を食べることで2.6gプラス。

(食品成分データベース、コンビニエンスストアのウェブサイトにある「商品案内」を参考)

これで、合計11.1gプラスとなり、1日あたりの摂取量が21.2gに。推奨量をクリアすることができます。

そのほか、おやつにドライフルーツやナッツを取り入れるだけでも、かなりプラスすることができます。日々の食事でぜひ意識してみてください。

監修:友利由希(ロクト整形外科クリニック所属 管理栄養士)

食物繊維がたくさんとれる食材&食品リスト

五大栄養素に次ぐ栄養素として「第6の栄養素」とも呼ばれるほど重要視されている食物繊維は、お腹の調子を整えてくれる上、糖や脂肪の吸収も抑えてくれる栄養素です。日々の食事でできるだけ摂取するために、食物繊維が多く含まれている食材や食品を紹介します。

食材や食品の食物繊維量を知るには?

そもそも、1日あたりに自分に必要な食物繊維量がどのくらいか、知っていますか?厚生労働省が定める目標の量は、18歳以上の人の場合、男性で21g、女性で18g。ただ、この数字だけ聞いても「一体なにをどれだけ食べれば摂取できるのか…」となかなか見当がつかないもの。

例えば身近な食材を例に挙げると、リンゴ1個(約300g)を食べた場合、摂取できる食物繊維の量は4.5g。単純計算すると、18歳以上の男性がリンゴだけで1日の食物繊維量をカバーしようとすると、5個食べる必要があるということ。ただ、こんな方法をとることはもちろんありません。食事はバランスよく食べることが大切です。

文部科学省のウェブサイト「食品成分データベース」では、食品ごとの食物繊維量を調べることができます。

フリーワードや食品名の一覧から調べたい栄養素が検索でき、食品の状態別(生/茹で/乾燥など)でも分かれているのでかなり細かな情報が調べられます。

なお、食物繊維は炭水化物の中に含まれるので、検索をする時には「食物繊維」だけの分量が表示されるように条件表示を指定することもお忘れなく。

また、表示される栄養素の量は、一般的に可食部100gあたりの含有量。ここで注意したいのが、1食分=100gではないということ。例えば、乾燥カットワカメの場合、100gあたり39.2gの食物繊維が含まれていますが、1人分のお味噌汁に使うワカメの量はほんの1〜2g。つまり、1食あたりに摂取できる食物繊維の量は0.4~0.8gになります。食物繊維量を確認するときは、この点に注意してください。

ちなみに、食物繊維の性質には水に溶ける「水溶性」と溶けない「不溶性」の2種類に分けられます。一つの食材にどちらも含まれていることが多く、バランスよく摂取するのが理想です。

食事に取り入れたい!食物繊維豊富な食材と食品

では、実際に食物繊維が豊富な食材と食品について、kenko ISLAND64号の内容をベースに、穀物/野菜/きのこ/果物/食品別に紹介します。

[穀物]
紹介した穀物類の中で100gあたりの食物繊維の量が多いランキングとして、押麦、オートミール、日本そば、沖縄そば、玄米の順。主食となる穀物は、食事で食べる量も多くなるので、食物繊維が多いものを選ぶと1日あたりの摂取量をぐっと増やすことができます。押麦は白米に混ぜて炊くだけ、オートミールは牛乳や豆乳などに浸して一晩置くだけで作れるオーバーナイトオーツを朝食にと、手軽に取り入れられるので試してみてください。

[野菜]
食物繊維が豊富な野菜で思いつくものといえば、ごぼうやサツマイモでは?この二つの食物繊維量はもちろん多めですが、栄養価が高く最近人気のアボカドも見逃せません。また、煮物などでお馴染みの切り干し大根は100gあたりの食物繊維量がずば抜けて多い食材。インスタントのお味噌汁にそのまま入れて食べることもできるので手軽でおすすめです。

[きのこ]
きのこはどの種類も全般的に食物繊維が豊富。料理によく使われるエノキやしいたけ、しめじはもちろんですが、中華料理によく使われるキクラゲは、飛び抜けて食物繊維の含有量が多いです。「キクラゲを料理に使うのはハードルが高めかも…」という人もいるかもしれませんが、歯応えが良く、クセのない味わいなので、いつもの炒め物料理に少しプラスだけでも良いかもしれません。

[海藻]
食物繊維が豊富な食材として、やはり名前が挙がるのが海藻。ワカメ、ひじき、海苔、昆布など、日本人の食卓ではおなじみの食材。ごはんに海苔をプラスしたり、お味噌汁のだしに昆布を使ったり乾燥ワカメをプラスしたりと、意識して使ってみましょう。

[果物]
皮をむくだけで食べられる果物はその手軽さが魅力。また、食物繊維量の多さに関しては、より手軽に食べられるドライフルーツに注目を。生のものに比べて含有量がぐっと増えています。おやつなどに上手に取り入れるのがおすすめです。

[食品]
栄養の優秀食品である大豆を使った食品は含有量が多め。納豆、油揚げ、豆腐などは積極的に摂取を。また、お腹のお掃除をしてくれることで有名なこんにゃくも、食物繊維が豊富な食材です。おやつにはナッツもいいですよ。

監修:友利由希(ロクト整形外科クリニック所属 管理栄養士)

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