いつでもどこでもストレッチ!

ずっとデスクワークをしていて肩や首がこった時、ぐるぐる回してみるなど、日常生活の中で自然とストレッチをしていることは多いかもしれません。無意識に取り入れるのはもちろんOKですが、意識して効果的に取り入れれば不調の予防にも解消にもつながります。ストレッチの基本的な知識と習慣化のヒントについて、日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナーであり、ロクト整形外科が運営するメディカル&コンディショニングセンター(https://rokuto.com/news/3605/)の上里慎一郎さんにお話をうかがいました。

ストレッチをするのは何のため?

そもそもストレッチをする目的と、その効果にはどんなものがあるのでしょう。

「ストレッチをすると身体がやわらかくなる、と言われますが、細かく言うと、筋肉と関節がやわらかくなるんです。そうすると可動域(筋肉や関節を動かす範囲)が広がるので、例えばスポーツにおいて能力をより発揮できるようになったり、日常生活でも、こりによってどこかが痛むことがなくなるメリットがあります。また、筋肉を動かすことにより全身に血が巡るので、血流も良くなります。そうすると、こりやむくみなどの血行不良による不調の解消にもつながります。血の巡りの良さは健康でいるための重要な要素なので、広く捉えると、ストレッチをすると健康になるとも言えると思います」。

筋肉や関節がこり固まっていると、可動域が極端に狭まってしまい、日常生活において支障が出ることもあるとのこと。その分かりやすい例が、ぎっくり腰。普段あまり運動をしていなかったり、加齢により、こり固まった状態で急に荷物を取ろうとした時に、可動域が極端に狭い状態だったため筋肉を痛めてしまい、その部位を動かすことができなくなってしまいます。また、上里さんはスポーツチームのトレーナーを務める中で、選手にストレッチを徹底してもらうのは、パフォーマンスを上げられるからということ以上に、ケガの予防に役立つからとのこと。こうした指導の裏に見えてくるのは、「いつ行うか」という点です。

いつでも「その前に!」を意識して

スポーツの場合は行う前後にストレッチをしますが、それぞれ役割が違うとのこと。ストレッチには動的ストレッチ、静的ストレッチの二種類があり、簡単に言うと動的ストレッチは準備運動。筋肉や関節の動きをより良くして、パフォーマンスを上げるために行うもの。一方、静的ストレッチはスポーツが終わった後のクールダウン。使った筋肉を伸ばして正常な状態へ戻す役割があります。

日常生活において取り入れたいのは主に静的ストレッチで、行うタイミングとしては、いつでも「予防」を意識することが大切だと上里さんは言います。

「不調を感じてからストレッチをすると、まず正常な状態に戻すのに時間がかかってしまうので、筋肉が少しほぐれたかなと思っても、同じ姿勢をとり続けるとすぐにまた不調を感じるようになってしまいます。でも、不調を感じる姿勢や行動をする前にストレッチをするようにすると、筋肉がほぐれた状態でスタートするので予防ができるんですね。なので、不調ケアのためのストレッチは、不調を感じる前に行うことを習慣づけるといいと思います」。

仕事や授業のスタート時に肩や首を1〜2分、回すようにしたり、ちょっとした休憩やお昼の時間には必ず1分のストレッチを取り入れるようにするなど、仕事や勉強、家事のルーティンに合わせてストレッチをする時間を組み込んでしまうことで、習慣化しやすくなります。

また、ストレッチは身体が温まったタイミングで行うのも効果的。身体が温まっている=筋肉も温まっている状態なので、動きがスムーズになり、伸びやすいとのこと。入浴後は筋肉が伸びやすいベストタイミングです。逆に朝起きてすぐのストレッチは注意が必要です。寝ている間は身体を動かしていない上にずっと同じ体勢で横たわっていたので、身体はかたまった状態です。朝に身体を目覚めさせるためにストレッチをする場合は、ゆっくり無理をせずに行うことが大切です。

特別な器具を使わず、場所を選ばないストレッチは日常生活への取り入れやすさはナンバーワン。1回あたりに伸ばす時間を長くしすぎなければ、1日に何回やってもOK。”痛気持ちいい”レベルで続けていきましょう!

健康で美しいカラダを手に入れよう!太らないコツ 〜食事編〜

社会人になって、お腹がぽっこりしてきたな…と感じることはありませんか。食べ過ぎや、ストレスなど太る原因は色々ありますが、食べ方を意識するだけで健康的なカラダを目指すことはできます。今日から実践してみましょう!

健康で美しいカラダって?

健康で美しいカラダとはどんな体型なのでしょうか。目安のひとつに、BMI(Body Mass Index)の指数があります。BMIとは、自分が肥満の状態なのか低体重の状態なのかを知る指数のこと。体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で算出することができ、日本肥満学会では、18.5未満が「低体重(やせ)」、18.5以上25未満が「普通体重」、25以上が「肥満」だと定めています。厚生労働省によると、BMIが25を超えたとき、脂質異常症や糖尿病、高血圧といった生活習慣病にかかる危険性が高まるといわれています。反対に、「低体重(やせ)」の人は鉄欠乏により貧血を起こしやすくなったり、閉経後に、骨粗しょう症になる危険性が高まるといわれています。また、普通体重であっても体脂肪率が高く、筋肉量が少ない隠れ肥満の可能性もあるため、体脂肪率や筋肉量も合わせてチェックしていきましょう。体重を気にすると見た目の美しさに気をとらわれがちですが、それ以前にまずは健康であることが大前提。自分にとって適正な体型を知るようにしましょう。

そもそもなぜ太るの?

体重が増える理由のひとつは、「摂取エネルギー」が「消費エネルギー」を上回り、体脂肪として蓄積されてしまうから。摂取エネルギーとは食事から得られるエネルギーで、消費エネルギーは代謝や活動によって消費されるエネルギーのことを指します。太らないようにするには食事と運動それぞれエネルギーのバランスを保つことが大切ですが、ここでは「摂取エネルギー」を抑える食事のとり方について紹介します。

食事のとり方のアイデア9

太らないために意識すべきことについて、管理栄養士の友寄友子さんに教えてもらいました。ぜひ今日から実践してみてくださいね。

食物繊維が多く含まれる野菜や海藻類、きのこ類を先に食べる
食事をすると、血液中に含まれるブドウ糖の濃度「血糖値」が上昇します。血糖値は急激に上がると脂肪の合成につながるホルモン「インスリン」が多く出るため体脂肪増加の要因になってしまいます。そのため、血糖値の上昇をゆるやかにしてくれる食物繊維の多い食材を先に食べることがおすすめ。食物繊維は脂肪の合成を抑えてくれるだけでなく、食物繊維の多い食材は噛みごたえのあるものが多いのでよく噛むことにつながり、食べるスピードもゆっくりになるので満腹感を得ることもできます。

噛む回数を増やそう!
よく噛むことで少量の食事でも満腹中枢が働いて食べ過ぎを防いでくれます。ほかに噛むことで得られるメリットとして、脳の血流が良くなり認知症予防や、胃の負担を減らして胃がん予防、よく噛むと唾液がたくさん出て虫歯や歯周病予防などたくさんのメリットがあります。 噛む回数が多い食材は野菜や海藻、きのこ類です。調理の工夫としては乱切りなどをして根菜類などの食材を大きめに切ったり、繊維を長く残すように切るだけでもよく噛むことに繋がります。

食べ過ぎた翌日は「絶食」「減食」でなく、栄養の偏りの調整を行う
食べすぎた翌日は絶食したり食べる量を極端に減らしていませんか。食べすぎてしまった場合は、栄養の偏りの調整を行うようにしましょう。例えば、前日に食べたもので脂質が多かった場合、次の日は蒸し料理やグリル料理、茹で料理などを選ぶように工夫すると脂質の過剰摂取を抑えることができます。また、外食の際は塩分の摂取も自然と多くなってしまうため、翌日は減塩を心掛けて出汁をしっかりと使った料理や香辛料を上手に使いましょう。また、塩分を排泄する働きのある野菜ジュースや塩分無添加のトマトジュースを活用するのもオススメです。さらに外食では野菜が少なく食物繊維不足になることも多いため、野菜を意識して摂り入れるようにしましょう。

朝の欠食はNG!しっかり食事をとろう
朝は時間がないからと食事を抜いていませんか。朝食を欠食すると昼食後に高血糖になりやすく、眠気も出やすくなります。また、インスリンも過剰に分泌してしまうため体脂肪を合成しやすくなります。朝は1日の中でも食事と食事の間がもっとも空くタイミング。少量でもいいので食べることが大切です。特に、からだを動かすエネルギーとなる糖質や、身体をつくる栄養素であるたんぱく質は意識して摂りましょう。

夕食までに時間が空くならつなぎ食を
仕事や学校の都合上、夕食が遅い時間になりがちな人もいるはず。夕食が21~22時頃になる場合は、17~18時頃におにぎりやサンドイッチなど、糖質をメインとした「つなぎ食」をとり、夕食はたんぱく質や野菜などのおかずのみにすると体脂肪が増えにくくなります。夕食が遅い時は、胃に負担をかけないためにも脂っこい洋食メニューは控え、茹でる、蒸す等のさっぱりした和食メニューにしましょう。

おやつや甘い飲み物は午後3時を目安に
脂肪を溜め込む働きがあるたんぱく質「BMAL1(ビーマルワン)」は夜の9時以降から急増するため、夕食以降の間食は控えるのがベター。BMAL1は14時頃に最も少ないため、おやつは14~15時頃に食べるのがおすすめです。また、夜遅くまで仕事をするときに息抜きで缶コーヒーや甘い炭酸を飲むという人は要注意。遅い時間帯は、水またはお茶、無糖の炭酸水を選ぶようにしましょう。

⑦揚げ物はタイミングや頻度を考えて
あぶらが多い揚げ物。どうしても食べたい場合は夕食ではなく昼食に摂りましょう。⑥で説明したように、特に夜9時以降は脂肪を溜め込む働きがあるたんぱく質の影響により、体脂肪が増えやすくなるため、活動量が多い昼食に選ぶのがポイント。また、毎日揚げ物を食べてしまうと体脂肪増加に拍車がかかってしまうので、週に1~2回など頻度を抑えるようにしましょう。弁当のメインはあぶらの量が少ない焼き魚や生姜焼きなどの焼き物を選ぶなど工夫して調整しましょう。

スナック菓子は、個包装かフリーズドライを
間食の目安は、80~160kcal以内。一般的なスナック菓子は片方の手の平で80kcalほどあるので、まるまる1袋食べてしまうとエネルギーオーバーに。食べ過ぎないように小分けタイプを選ぶか、低エネルギーのフリーズドライの野菜チップスを選びましょう。ただ、時にはスナック菓子を食べ過ぎてしまうこともあるはず。そんな時はエネルギー調整のため、特別に夕食の主食を減らすという手もあります。

間食は、ナッツや野菜スティック、乳製品などを選ぶ
間食は噛む回数が多いものを用意しましょう。例えば、不足しやすいビタミンやミネラルが摂れ、食物繊維も多いナッツ(1食10粒程度=約90kcal)やドライフルーツ、果物など。他にも、低脂肪牛乳やヨーグルトなどの乳製品もたんぱく質や、カルシウムが多く含まれてダイエットの強い味方。特に、水切りヨーグルト(ギリシャヨーグルト)は腹持ちが良いので間食にぴったりです。

次回は「健康で美しいカラダを手に入れよう!太らないコツ〜運動編〜」を紹介します。

監修:友寄友子(rokuto RE:SPORTS MEDICAL&CONDITIONING CENTRE 管理栄養士)

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