健康を意識した生活を送っている人でも、「骨」の健康を考える機会は少ないかもしれません。でも、骨は人知れず身体の健康を守ってくれているのを知っていますか?例えば、そもそも人間の身体は「骨格」を中心に筋肉や腱がつく構造なので、骨がなかったら身体が成り立たちません。それに、内臓を守るのも骨の大きな役割の一つ。さらにカルシウムの貯蔵庫としての役割もあります。ということで、実はこんなにも活躍している骨について、その健康状態を知る方法などを紹介します。
骨密度とは?
骨の健康を知るバロメーターの一つである「骨密度」とは、骨を構成するカルシウムなどのミネラル成分の密度のことを指します。1平方センチメートルあたりに何グラムのミネラル成分が含まれているかをパーセンテージで表示したものが骨密度で、値が大きいほど、骨が強いということになります。骨密度は歳を取るごとに減っていき、特に女性は閉経後にぐっと減ってしまいます。そのほか、喫煙や過剰な飲酒なども骨密度の低下を招く原因になります。
骨密度を測る必要性として一番に挙げられるのは、代表的な骨の病気である「骨粗しょう症」に気づけるようにするためです。骨粗しょう症は、骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気のこと。発症しても痛みなどの自覚症状はないので、ほとんどの場合が気づきません。ですが、ちょっとつまづいただけで骨折してしまうなどのリスクが高まるため、早めに気づくことで対処がしやすくなります。
骨密度は、どこでどうやって測るもの?
骨密度は専用の機械を使って測るため、病院やクリニックなど、設備が整っている施設に行く必要があります。40歳以上の場合は検診の中で測定項目として設けられていることも多いため、近くの保健所に尋ねてみるのもおすすめです。
病院などで骨密度を測る方法は主に、DXA(デキサ)法、超音波法、MD(エムディ)法の3つがあります。使用する機械によって、寝転んだ状態で測定したり、専用機器に足を入れたり、手を乗せたりして測ります。どの機械を使う方法でも痛みはまったくなく、時間も5〜10分程度で終わるため、とても気軽に測定することができます。ちなみに、骨粗しょう症の検診に多く用いられているのは、超音波法。X線を使わないので妊娠中の方でも測定可能で、かかとやすねの骨に超音波をあてて測定します。
骨密度の数値は何パーセント以上が望ましい?
骨密度は、YAM(若年平均骨密度)と呼ばれる、同性の20〜44歳の骨密度の平均値を基準にし、その値と比較して診断されます(※参考:(一社)日本健康倶楽部「健康診断結果の見方」)。YAMを100%として考え、80%以上が正常、70〜80%未満は骨量減少、70%未満は骨粗しょう症と分類されています。
骨粗しょう症になると、ちょっとしたことで骨折してしまい、もしもその骨折した箇所が太ももの付け根に近い場合は歩けなくなってしまう可能性もあります。また、年齢を重ねてから骨折をすると、寝たきりになるリスクも高まります。そうならないためにも、普段から適度な運動と栄養バランスの良い食事に気をつけた生活を送ることが大切です。
骨は目に見えないけれど、身体を支える重要なもの。定期的に骨密度を測って健康状態を確認し、カルシウムをしっかり摂取するなど、“骨活(ほねかつ)”を日々心がけた生活を送るようにしましょう。
執筆:kenko ISLAND編集部 監修:武藤亮先生(浦添総合病院整形外科専門医)
※(一社)日本健康倶楽部「健康診断結果の見方」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/seikatsu/pdf/02a-25.pdf