モデルウォーキングのプロから学ぶ!美しい歩き⽅

普段、猫背でうつむいて歩いていたりしませんか?姿勢を正して美しく歩くと、堂々としてかっこよく見えるだけでなく、ポジティブな思考になれたり、ダイエットにつながるなどいろいろなメリットがあります。今回は、元モデルの屋良先生から美しい歩き方について教えてもらいました。

屋良充佑紀(やら みゆき)先生
ウォーキングインストラクター。沖縄やフランスのベルサイユ宮殿にて行われたFashion Room MADONNAのファッションショーの出演経験のほか、自身がショーの演出を担当することも。モデルだった経験を活かし、ミスユニバース沖縄やミセスインターナショナルジャパンの沖縄大会など数々の大会でウォーキング講師を行うほか、Triangle studio and loungeにて一般向けのウォーキング指導も行う。

そもそも「美しく歩く」とはどういうこと?

歩くことは、あまりに日常的な動作なので無意識で行っている人が多いと思います。でもだからこそ、屋良先生の歩き方を見ると「美しく歩くってこういうことをいうのか!」ということが分かります。

「背筋を伸ばし、まっすぐ前を見て歩くことが基本の美しいウォーキングです」と屋良先生。確かに、先生の歩く姿は頭から足までが美しい直線になっていて、視線の先は地面ではなくまっすぐ。「姿勢がいい」と感じる状態のまま歩いているイメージです。

街中で猫背だったり膝が曲がったまま歩いている人を見ると、屋良先生は「もったいない!」と感じるそう。「美しい姿勢を意識するだけで、基礎代謝が上がって太りにくくなったり、腰痛や便秘などの身体の不調の解消、そして転倒防止にもつながるんですよ。やらないのはもったいないですよ」と。

正しい姿勢を意識することでいつでも背中の筋肉を使うことになります。それが結果的に代謝を上げ、脂肪燃焼につながるのでダイエットになるだけでなく、猫背による腰痛の防止ができたり、さらには背筋が伸びていることによりストレスに耐性のあるホルモンが増え、気分的にも前向きになれるとのこと。

逆に悪い姿勢で歩くと、猫背なのでお腹が圧縮されて内臓が下がり、骨盤が開きやすくなります。すると、開いた骨盤と内臓の間にどんどん脂肪がつき、筋肉も使っていないのでお腹が出やすくなります。また、猫背になると顎が前に出てしまいますが、この時、首に負荷がかかるので血流が悪くなり、眼痛疲労、片頭痛、肩こりの原因にもなります。

屋良先生はモデルを目指す人たちへの指導はもちろんしますが、こうした歩き方は日常の健康管理に役立つことが多いので、一般の人にこそ実践してほしいと話します。

美しく歩くための正しい姿勢を知ろう!

美しく歩くための第一歩は、まずは正しい姿勢を知ることから。歩く練習の前に、普段の自分の姿勢をチェックしてみましょう。

【正しい姿勢】
壁に頭や肩をくっつけ、手をぐーっと上に伸ばすことで、胸骨を引き上げます。おへそと背中がくっつくくらいお腹をへこませ、その状態がキープできたら手を下げます。これが、正しい姿勢です。

①手をぐーっと上に伸ばしてお腹を凹ませて少しキープ。

②そのまま腕をゆっくりと下げた状態が「正しい姿勢」。

正しい姿勢をつくることができたら、いざウォーキングの実践です。

【正しい歩き方】
①まっすぐ前を向いたまま、片足を一歩前へ踏み出し、かかとから足を落とします。

<POINT>
・歩幅は大きく普段より5センチ先に足を着地させるイメージで。
・股関節を大きく使うようイメージしましょう。すると足が長く見えます。

②①のかかとが落ちたら、後ろの足で身体を前に押します。

<POINT>
・足を踏み込んだ後、膝の裏がまっすぐ伸びるように意識しましょう。

ちなみに、歩くときの手の振り方は、腕を前に出すのではなく後ろに引くように意識すること。肩甲骨をしっかり動かすイメージで。

最初は「どうやるんだっけ?」と動きがぎこちなるかもしれませんが、ゆっくりと何回か練習するうちに、いつものスピードで歩けるようになります。これだけのことですが、いつもと歩き方が変わることを実感できると思います。

男性も女性も基本の姿勢は一緒ですが、足の運び方に違いがあります。女性は、膝と膝がタッチするように、一直線上を歩くときれいに見えます。一方、男性は自分の脚の左右それぞれの直線上を歩くことを意識することがポイントです。

より美しく歩くために…

正しい歩き方にプラスして、美しく歩くために必要な「足の指の筋トレ」と「足裏のマッサージ」も紹介します。歯磨きをしながら、テレビを見ながらできるので、日常生活に取り入れてみてください。

【足の指の筋トレ】

まず、足を肩幅の広さ開きます。そのまま足の指の力だけで前に進みます。この時、親指、人差し指、中指など指を1つ1つ動かす意識をするのがポイントです。

歩くのが難しい方は、タオルを床に敷いて、足の指の力で自分のほうへ引き寄せる筋トレでもOKです。

人間は歩く時に、足を着地させて地面を蹴り出す動作を繰り返していまが、この時に重要なのが、足の指の力。歩く動作の中で足の指の力が弱いと蹴り出しが上手くいかないほか、歩くときに指が浮いてしまい、身体の重心が変わりやすくブレてしまうので美しく歩くことができないのです。

【足裏のマッサージ】

ワインのコルクかゴルフボール、マッサージボールなどを使って土踏まずや母趾球(足裏の親指の付け根の膨らんだ部分)をほぐすだけ!このマッサージは、歩くのに大切な土踏まずのアーチ部分をやわらかくするために行います。この部分がガチガチに固まっていると、地面の蹴り出しが弱くなり、また歩くときの身体の重心がブレる原因にもなるため、気づいた時にマッサージをして血流を良くしておくことが大切です。冷え予防にも効果があります。マッサージに使うものは、完全な球体よりも、角がついているようなもののほうが刺激になるので効果的です。

正しい姿勢に始まり、美しくあること、そのために必要な足指トレーニングや足裏マッサージなど、普段の生活に取り入れて、習慣づけてみてください。体調不良の改善や身体の変化など、嬉しい効果が実感できるはずです。

*屋良先生の歩き方動画もあります。分かりやすいのでチェックしてみてください。
STAY HOME! 美しく歩こう!ウォーキングレッスン

https://youtu.be/fppdj8X2irg

Triangle studio and lounge
K-POPガールズダンスやJAZZダンスなど豊富なレッスンが体験できる。屋良先生が行うウォーキングレッスンでは、正しい姿勢のほか、健康のための身体の使い方を指導したり、音楽に合わせて楽しくウォーキングを行う。また、屋良先生個人ではミスコンやミセスコンを目指している人向けの指導も行っている。

Triangle studio and loungeのHP: https://triangle.okinawa/
屋良先生の連絡先:〈Instagram〉miyukiyara

空腹時間と体重コントロール

飽食の時代と言われて久しいですが、食べ過ぎと言われる今の時代、ダイエットは多くの人の関心を集めるテーマの一つです。さまざまなダイエット方法がありますが、最近よく聞くのが、14時間や16時間などある一定の時間、空腹でいることで体重を減らせるというもの。空腹時間と体重をコントロールすることの関係について、またファスティングと呼ばれる断食についてなど、(株)カロリア ミールトレーニング®️代表で管理栄養士として活躍されている宇栄原千春さんにお話をうかがいました。

空腹時間により働きが活発化する「オートファジー」

宇栄原さんは、ファスティングと日々の食事管理を組み合わせた独自のダイエットプログラムで、これまで数々のダイエット成功者を生み出した経験の持ち主。その考えの根底にあるのは、栄養バランスと摂取カロリーです。

今回、「ある一定の空腹時間を設けるだけでダイエット効果があるか」という点についてうかがうと「難しいですが、イエスでもありノーでもあるという感じでしょうか。というのも、1日24時間のうち、いくら16時間食べないからといって、残りの8時間の間に栄養バランスも考えずに暴飲暴食をしたら、それは痩せることにはつながらないのではないかな、と思います。ただ、ある一定の空腹時間を設けることで、「自らを食べる」という意味の『オートファジー』の仕組みが発動することはノーベル生理学・医学賞を受賞された大隅良典栄誉教授が発表して話題になりましたね。今広まっている空腹時間ダイエットはこの研究がもとになっていると思います」と宇栄原さん。

東京工業大学の大隅良典栄誉教授が「オートファジー」のメカニズムの発見でノーベル生理学・医学賞を受賞したのは2016年。半世紀以上前から研究されていたオートファジーの全容を肉眼で初めて観察し、電子顕微鏡でその過程を解明。オートファジーの14の主要な遺伝子(ATG遺伝子)を発見しました。

オートファジーは、細胞が自らの細胞質成分を食べて分解することでアミノ酸を得る機能で、細胞内の「リサイクルシステム」とも呼ばれるもの。簡単に言うと、人間が何も食べないで何日か過ごしてもすぐに死ぬことがないのは、生命を維持するために「細胞が自ら(Auto)を食べる(Phagy)」仕組みが活発に行われているからとのこと。

この仕組みにより、空腹の時間が続くと体内にあるものでアミノ酸を作り出そうとし、それにより細胞が生まれ変わり、がんや糖尿病をはじめとする生活習慣病の予防や、肌や筋肉などの老化防止の効果があると考えられています。

大切なのは栄養バランスと摂取カロリー

宇栄原さんもダイエットプログラムにおいて、オートファジーをふまえたファスティング(断食)を定期的に取り入れています。

「例えばどうしても食べることが続くタイミングがありますよね。例えば年末年始。私もやりますが、年末年始が明けて忙しさが落ち着く2月頃に1週間ほどのファスティングをします。本当は暴飲暴食をした後の早目のタイミングで、七草の頃にできればいいのですが、忙しい現代ではなかなかそうもいかないので。また、本当は食べすぎないように日々調整できればいいのですが、簡単ではないんですよね。その調整のためにファスティングをするのは効果的だと思います」。

ただ、体重コントロールで大切なのは、あくまでも栄養バランスと摂取カロリーだと宇栄原さんはいいます。
「日々の生活の中で、空腹時間を取ることはもちろん大切だと思います。空腹というのは『エネルギーが必要ですよ』というサインなので、空腹になってから食べることは一番大切。私自身もその考え方です。ただ、ダイエットはインとアウトの関係だと思うので、どれだけ食べてどれだけ使ったか、それによって差し引きどうなったのかということだと思うんですね。この基本的な理論を外して考えるわけにはいきません」。

食べた分のエネルギーを消費しきれなかったら、体重はやはり増加してしまいます。また、宇栄原さんは食べる量と消費する量のバランスだけでなく、食べる時間帯も重要だと話します。

「私がダイエットプログラムでみなさんに伝えているのは、食べる時間帯は昼間にしましょうということ。それは、人間は時間帯によって出るホルモンが決まっているからなんです。人によっては仕事で夜勤の方もいると思いますが、それでも夜の8時や9時以降は食べないようにというアドバイスをしています。何万年もの間、人間は朝起きて夜寝るという生活をしてきていますよね。夜中まで起きているようになったのは、せいぜいこの100年くらいじゃないでしょうか。そう考えるとすぐにホルモンの出る時間がそんなに簡単に変わるとは思えなくて、変わるとしても何世代か先ではないかなと。そうであれば、もともとの人間のリズムに合わせて食べる方が、健康的だし痩せやすくなると思います」。

また、栄養バランスについては「できるだけ素材そのものを食べるようにすること」がポイントだといいます。素材が加工されればされるほど、本来の栄養素すべてを摂取することは難しくなってしまうそう。例えばお米は白米よりも玄米の方がビタミンもミネラルもたくさん入っているし、小麦粉であれば全粒粉の方が栄養素としては多く含まれている。野菜ジュースなども、野菜そのものに比べたら栄養素はなくなっているのが現実です。特に小麦粉はスパゲッティやうどん、パンなど、さらに加工されることが多いので注意が必要とのこと。

体重のコントロールには、ある一定時間を食べないようにするというのではなく、摂取カロリーや栄養など、全体的なバランスを見るのがやはり重要。ファスティングなど専門知識が必要なものへ挑戦するときは、自己判断でやるのではなく専門機関に相談するのが安心です。

宇栄原千春 https://caloria.biz/

参考:東京工業大学「オートファジー-ノーベル賞を受賞した大隅栄誉教授の研究とは」
https://www.titech.ac.jp/news/2016/036467

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