睡眠専門医 普天間先生に聞く!眠ることの大切さ

ここ数年、睡眠に関する注目度が上がってきています。雑誌やテレビ、ラジオなど、さまざまなメディアで睡眠について特集されるほか、寝具をはじめ、睡眠の質を高める栄養素が配合されたお菓子など、睡眠に関する商品も数多く発売されています。今、注目を集めている睡眠について、睡眠の専門医である普天間国博先生にお話をうかがいました。

普天間国博先生
琉球大学病院 精神科神経科 睡眠外来担当医師。東京医科大学で8年ほど睡眠診療に携わった後、沖縄へ戻り、医療法人社団輔仁会 嬉野が丘サマリヤ人病院で睡眠診療科長を務める。2021年より琉球大学病院にて勤務。

睡眠は健康を保つ三大要素の一つ

健康な毎日を過ごすために、食事や運動と並んで重要とされている「睡眠」。この3つがバランス良く行われていると、病気の予防や健康の増進に結びつきます。厚生労働省健康局が作成した「健康づくりのための睡眠指針2014」には「睡眠12箇条」が定められており、「良い睡眠は生活習慣病予防につながります」「若年世代は夜更かし避けて、体内時計のリズムを保つ」「勤労世代の疲労回復・能率アップに、毎日十分な睡眠を」など、睡眠に関する注意やアドバイスが盛り込まれています。睡眠不足が続くとどうなるのか、普天間先生にうかがいました。

「睡眠不足が続くと、単純に次の日は眠いですよね。それが続くと、だるさを感じたり集中力が落ちたりして、仕事や勉強でミスが増えてきます。そして体調不良につながってしまう。睡眠にはさまざまな機能があるんですが、もっとも基本的なものは身体とこころのメンテナンスです。睡眠が十分に取れないと、身体は疲れたまま、気分もリフレッシュできません。それによって免疫力が低下して風邪をひきやすくなったり、気分的に落ち込みやすくなったり、ひどくなると深刻な病気につながることもあります」。

睡眠には、身体とこころの休息やメンテナンスをするほか、記憶を整理して定着させたり、ホルモンバランスを整えたりする機能もあります。しかもどれも重要かつ、睡眠をとることでしかできないこと。こうした睡眠による重要な役割を知ると、睡眠不足を軽く考えることはできません。

kenko ISLAND62号より

寝不足はたまるけれど、寝だめはできない睡眠

「人間が生きていくうえで非常に重要な睡眠ですが、『負債』はたまるけれど『寝溜め』ができないのも特徴の一つです。寝不足が続くと『睡眠負債』と呼ばれる寝不足の借金がたまります。寝不足の借金はたまればたまるほど、さまざまな病気を引き起こすリスクが高まります。例えば高血圧や糖尿病は、血糖値や血圧のバランスが崩れることで引き起こされますが、睡眠不足や睡眠障害は血圧上昇や血糖値上層のリスクとあります。また、睡眠不足で脂肪がつきやすくなることで太りやすくもなります。さらに慢性的な睡眠不足はこころの病気にもなりやすく、不眠症からうつ病に進展するケースも多く見られます。最近では、認知症のリスクが高まるという研究結果も出ています」。

また、中高生や若年層の夜更かしは睡眠のリズムを悪化させたり、睡眠不足による体重増加にもつながるとのこと。思春期の睡眠に関する研究では、就寝や起床時間が遅いことは学業成績の低さにも関係するとの結果があります。

眠りたいのに眠れない時の対処法

睡眠の重要性を理解して、規則正しい生活や十分な睡眠時間を確保しようと意識しても、眠れない場合はどうすれば良いのでしょうか。

「眠れない時は、無理に眠ろうとすると余計に眠れなくなるので、自然と眠くなる時間を待った方が良いです。ただ、就寝時刻が遅くなったからと言って起きる時間は変えないことが重要です。私が睡眠外来で不眠症の患者さんに行う治療はいくつかありますが、その一つに『認知行動療法』というものがあります。眠るための部屋の環境を整えたり、気分的にリラックスできる方法を考えるやり方です。不眠症では、脳が常に過剰に興奮して夜間もなかなかリラックスできない状態となります。心配事やストレスが原因となることが多く、中高年の女性に多く見られますが、すぐに睡眠薬に頼るのではなく、睡眠環境を整えることから始めるといいですね」。

世界には、過去に「人がどれくらい眠らずに起きていられるのか」という断眠に挑戦した記録がありますが、それによると断眠を開始して数日すると幻覚や妄想が出始め、最終的には記憶や言語障害などの心身に変調を来すようになったとのこと。

睡眠不足でいいことは一つもなく、ぐっすり眠ればいいこと尽くし。毎日の睡眠を大切にしましょう。

[INFORMATION]
琉球大学病院 精神科神経科 睡眠専門外来
毎週金曜日午前中(予約制) TEL:098-895-3331
http://www.hosp.u-ryukyu.ac.jp/index.html

4人に聞きました!睡眠にまつわるQ&A

kenko ISLAND62号「ぐっすり眠ろう♡」の特集では、名嘉俊さん、川満アンリさん、ジリ・ヴァンソンさん、沙姫さんの4名におすすめの睡眠方法を教えてもらいました。kenko ISLAND WEBでは、誌面では書ききれなかった睡眠にまつわるQ&Aをお届けします。4人の意外な一面を知ることができるかも?

Q1 「睡眠」と「食事」は、どちらが特に大事ですか?

(名嘉俊さん)どちらかというと、睡眠の方が大事だと思います。もともと夕食の量は少ないですし、もしお腹が空いてて眠たかったら、食事をとらずにすぐ寝ちゃうと思います。

(川満アンリさん)悩みますけど…、食事ですね。寝ることは大事というより、好きって気持ちが強いです。食事は、子どものことを考えて、食材選びにもこだわっています。

(ジリ・ヴァンソンさん)睡眠ですね。ベッドでの包み込まれるような安心感や、起きて体を伸ばした時の気持ち良さは、他では得られない気持ちだと思いませんか?この幸せな気持ちは、睡眠ならではだと思います。なので、質の良い睡眠をとるために、こだわりはある程度持っています。

(沙姫さん)睡眠です!眠らないと元気がでないし、肌の調子も悪くなるので。質の良い睡眠をとることを常に意識しています。

Q2 これまで最長何時間寝たことがありますか?もしくは、何時間起き続けたことがありますか?

(名嘉俊さん)犬を2匹、猫を3匹飼っているので、寝続けることはできません。「ご飯ちょうだい!」って起こされます(笑)。そうじゃなくても、喉が乾いて8時間ぐらいで起きてしまいますね。

(川満アンリさん)寝溜めはあまりしません。でも、20代の頃に仕事で3日間起き続けたことがあります。その時は、些細なことにもイライラしてしまいました。やっぱり睡眠って、大切です!

(ジリ・ヴァンソンさん)東京で働いていた頃、モデルの仕事と映画のスタッフを掛け持ちした時に、2日間徹夜したことがあります。でも、徹夜なんて今は絶対ムリです!

(沙姫さん)20歳の頃、お酒をたくさん飲んで眠ったら、起きた頃には日が暮れていて…。16時間、一度も起きずに寝ていたんです。自分でもびっくりしました(笑)。

Q3 これまで見たなかで、一番印象に残っている夢はなんですか?

(名嘉俊さん)僕自身が飛ぶ夢をよく見ます。「この夢って、どんな意味があるんだろう?」と気になるので、ベッドの近くに夢辞典を置いて、すぐに調べられるようにしています。

(川満アンリさん)恐竜やドラゴンなど、現実の世界には存在しない生き物の夢を見ることが多いかも…。夢を見ている時はリアルでとても怖いです(笑)。夢は目が覚めても覚えている方なので、起きたら夫に話すのが日課です。

(ジリ・ヴァンソンさん)東京でよく行っていたバーがあって、エレベーターに乗ってそこへ向かうと、なんと鬼に地球の裏側のような場所に案内されるんです。僕が鬼に拉致されると他にも捕われている人たちがいて、一緒に脱出を試みる…という夢を見たことがあります。まるでアクション映画みたいですよね(笑)。

(沙姫さん)大好きな俳優さんがいるのですが、想いが募るあまり、夢に出てきたんです!一緒にドライブをして、恩納村にあるシーサイドドライブインでスープを飲んで…。夢を見ている間は、現実のようにとてもリアルだったので、すごく嬉しかったです。

Q4 睡眠にまつわるおもしろエピソードはありますか?

(名嘉俊さん)寝ている時に僕自身が笑ったり泣いたりして、その音で起きてしまうことがあります。笑い声で起きてしまうことは、皆さんもありませんか?あれって、なんであんなに恥ずかしいんですかね〜(笑)。

(川満アンリさん)寝言をたまに言っているみたいです(笑)。ダイエット中に、牛丼屋さんやフォーストフード店の名前を呟いて、その声に起きてしまったことがあります。起きている時に我慢すると、夢の中にもでてくるみたいです。

(ジリ・ヴァンソンさん)僕は寝付きが良くない方なので、海外へ行く時に飛行機では、アイマスクと耳栓は必ず着けて、必要であれば睡眠導入剤少しだけ服用するんです。以前、フランスから日本行きの飛行機に乗った時にも薬を飲んで眠ったら、飛行機が到着していることに全く気づかなくて。到着してから40分後にキャビンアテンダントの人に起こされたことがあります。あの時は自分でもびっくりしました。

(沙姫さん)友人に教えてもらったのですが、寝ている時に手を叩きながら笑って、「ハサミとってきて〜」と言っていたそうです。普段から笑う時に手を叩くので、寝ていてもその癖は変わらないんですね。それにしても、何でハサミが欲しかったんだろう?(笑)

公式マスコット「わお」って?