臓器移植「知る」で終わらず「選択」を

10月は、臓器移植普及推進月間。「臓器移植」や「臓器提供」という言葉を聞いたことはあるけれど、あまり知らないという方もいるのでは?臓器提供の意思表示の方法など、基本的な情報を紹介します。健康保険証や運転免許証の裏面をご確認ください。ぜひ、この機会に大切な人やご家族と話し合ってみてくださいね。

臓器移植とは?

臓器移植は、重い病気や事故などにより臓器が機能しなくなった人に、他の人の健康な臓器と取り換えて機能を回復させる医療です。第三者の善意による臓器の提供によって成り立ちます。臓器提供は、脳死後あるいは心臓が停止した死後に、本人の生前の意思と家族の同意のもと行われます。脳死後の提供の場合は、心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓、小腸、眼球の7つの臓器を提供することができます。心臓が停止した死後の場合に提供できる臓器は、腎臓、膵臓、眼球の3つ。提供できる臓器に違いがある理由は、血液の流れが止まった状況から、移植後に血液の流れを再開して機能を発揮できる能力に違いがあるからなんです。

正しい知識を得て、意思表示を

現在の移植希望登録者数は15,573人(2022年9月30日現在)。この中で移植を受けられる人は、1年間にわずか2~3%です。臓器移植は、提供する人(ドナー)がいてはじめて成り立つ医療。もしかすると、あなたが、あなたの大切な人が、臓器移植を必要とするかもしれません。

意思表示をしている人は国民の10人にひとりとまだまだ少ないのが現状です(令和3年度「移植医療に関する世論調査」)。意思表示について、家族と話し合ってみませんか。

意思表示のやり方

臓器を提供するかしないかを考え、意思を示すのが臓器提供の意思表示。その方法のひとつが、健康保険証・運転免許証・マイナンバーカード、意思表示カード等の意思表示欄に記入するという方法です。まず、「脳死、心臓が停止した死後のいずれでも臓器を提供する」「心臓が停止した死後のみ、臓器を提供する」「臓器を提供しない」の3択の中から、自分の意思を選び記入します。その次に、臓器提供を希望する意思を選んだ人は、「心臓・肺・肝臓・腎臓・膵臓・小腸・眼球」の中から提供したくない臓器に×をつけて意思を表示します。

意思表示は何歳からでもできますが、臓器を「提供する」という意思表示は、15歳以上から有効です。また、自分の死後に臓器を「提供したい」という意思も「提供したくない」という意思も自由に選択でき、尊重される権利です。大切なのは、自分はどうしたいかを考え、家族にその気持ちを共有しておくこと。臓器提供は家族の同意が必要なので、事前に意思を表示し話し合っておくことで、もしもの時の家族の負担を減らすことができます。

臓器移植のことをもっと知りたい方は、以下リンクから勉強することができます。一番下のリンクは、突然、臓器提供をするかしないかの選択をすることになったある家族を描いたショートムービー。臓器提供について考えるきっかけになるはずです。

日本臓器移植ネットワーク
https://www.jotnw.or.jp/

グリーンリボン沖縄公式インスタグラムアカウント
https://www.instagram.com/gr_okinawa.official/

ショートムービー「あなたのこと」

はじめよう!リンパマッサージ

身体の中の老廃物や細菌などを回収する役割を果たしているリンパ液。運動不足やストレスなどでその流れが悪くなると、身体にさまざまな不調をもたらしてしまいます。そうならないようにするために、マッサージで流れを良くすることが大切。リンパを流すメリットやその方法を、専門家の高橋結子先生にお話を伺いました。

そもそも「リンパ」って何?

免疫細胞であるリンパ球を含んだリンパ液は、ヒトの身体中に血管のように張り巡らされたリンパ管の中を流れ、「余分な水分や老廃物などを集める役割」と「細菌やウイルスを倒して身体を守る役割」を担っています。体内をめぐりながら毒素や病原菌、老廃物を回収し、脇の下やももの付け根、首や耳の周辺などにあるリンパ節できれいな状態に濾過してくれます。こうしてきれいになったリンパ液はまた血液にのって体内を循環しています。

こうした役割を果たしているリンパ液ですが、現代社会では昔に比べて便利な生活になったおかげで日常的な運動量が減り、リンパ液が滞りがちになっていると、高橋先生は話します。リンパの流れが悪くなると、余分な水や老廃物が回収されず溜まったままになるのでむくみを引き起こすほか、細胞が活性化されず免疫力が下がるので風邪を引きやすくなったり、疲れやすくなることもあるのだそう。なんとなく体調がすぐれないなという時は、リンパの流れが悪くなっているのが原因の可能性もあるのです。

実践!セルフでリンパマッサージ

リンパ液の流れが滞っているのを身近に感じられるのは、足などがむくんだ時かもしれません。リンパマッサージをすることでむくみを解消できるほか、免疫細胞を活性化・増殖させ、免疫力を高めることにもつながります。今回の記事で正しいセルフマッサージを学びましょう。

ここでは、マッサージの効果がよりアップし、顔のむくみも取れるウォーミングアップと、むくみやすい脚のマッサージ方法を紹介します。「リンパマッサージでは、まず鎖骨下にあるリンパ管の出口を開けてあげることが大切」と高橋先生。力の加減は、気持ちいいと感じる程度で行うのがおすすめです。早速チャレンジしてみましょう!

※セルフマッサージ程度なら基本は問題ありませんが、持病をお持ちで心配な方は、行う前に主治医に相談してください。

ウォーミングアップ

STEP1 リンパ液の出口へ通じる「頸部リンパ節」を刺激
「狼の手」を作り、左右の顎の骨に沿って当てます。人差し指から小指の先が触れる部分を矢印のように優しくマッサージします。5回×3セット。
ポイント:皮膚の表面を強くこするのはNG。また、撫でるのではなく、皮膚を動かすように行うとGOODです。

STEP2 鎖骨下にあるリンパ管の出口を刺激
「指フック」をつくり、左右の鎖骨の上にあるくぼみに当てて、指先を掘るように動かします。5回×3セット。
ポイント:力の入れすぎに注意!

脚のむくみを取るマッサージ

数あるマッサージの中からセルフで取り入れやすい脚のマッサージをご紹介。脚のむくみに悩む方はぜひトライしてみてくださいね。

STEP1 ふくらはぎに螺旋を描いて刺激する
両手を「狼の手」にして、くるぶしからひざ下までをマッサージ。下から上へクルクルと螺旋を5回描きます。手前に引き上げるときは水をすくうイメージで力を入れてリンパ液を流します。左右3セット。

STEP2 親指ですねの骨沿いをスライドアップ
両手の親指を曲げて2本一緒にすねの骨(脛骨)に当てます。ほかの4本の指は、ふくらはぎを包み込むようにしっかりと掴みます。すねの骨の外側を、足首から膝に向かってスライドさせましょう。左右5回ずつ。痛気持ちいいくらいの力でOKです。

STEP3 「三陰交」のツボを押す
左足の内側のくるぶしの骨に右手の小指を置き、指4本分ほど上にある「三陰交」のツボをおします。ここは、生理痛などを和らげる効果があるといわれています。ポイントは、親指で強めに押すこと。左右5回ずつ。STEP2と同じく、痛気持ちいいくらいの力で行いましょう。

STEP4 ふくらはぎをスコップで掘るように刺激する
両手を、脚の後ろで「狼の手」にして、右手の中指と左手の中指をくっつけます。その形のまま、アキレス腱あたりに指先を当て、指の腹を密着させます。指先をスコップのように掘るイメージで動かし、ひざの裏側までほぐし上げます。左右5回×3セット。

最後に、STEP1のマッサージをもう一度やるのもおすすめです。

マッサージを日課にしてココロも身体も元気に

「マッサージのタイミングは、一般的にお風呂上がりがいいと言われていますが、いつでもOKです。ただ、毎日同じ時間に行うようにすると忘れないので良いですね」と高橋先生。毎日行うのがベストですが、週1回や週2〜3回のペースでも問題ありません。無理のない範囲で、続けることが大切です。

さらにおすすめしたいのは、アロマテラピー用のオイルを使って行うこと。滑りが良くなりマッサージがしやすくなったり、香りを楽しみ、リラックスすることもできます。オイルの量は少し肌が潤う程度使用しましょう。

免疫力が高まったり、むくみが取れたり、リラックスできたり、身体にもココロにもいいリンパマッサージ。日々の生活の中に取り入れてみてくださいね。

高橋結子先生
リンパマッサージの施術のほか、技術研修やセミナーを開催する「アロマプレッシャー」代表。リンパドレナージュ専門家・フィジオセラピスト。米国ハワイ州公認ライセンスセラピスト。一般社団法人沖縄県がん患者会連合会療養支援相談員。フランスとハワイでリンパドレナージュを修得。アロマプレッシャーの技術及びクリニカルアロマセラピーの商品開発を行うほか、安全なリンパマッサージの方法や正しい知識を伝えるために、「リンパ浮腫ケア・セルフマッサージ」講習会の指導や、全国から集まるセラピスト、理学療法士、看護師、柔道整復師などの方々へ、アロマプレッシャー創始者のダニエル・マードン先生と共に指導している。
http://www.aromapressure.jp/

著書「ダニエル・マードン式モダンリンパドレナージュ リンパの解剖生理学」(BABジャパン)/共著「身体療法の生理学とボディワーク」(BABジャパン)、セルフマッサージ本として「ダニエル・マードン式アロマプレッシャー脚・ヒップ・腕編」(扶桑社)ほか多数

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