はじめよう!リンパマッサージ

身体の中の老廃物や細菌などを回収する役割を果たしているリンパ液。運動不足やストレスなどでその流れが悪くなると、身体にさまざまな不調をもたらしてしまいます。そうならないようにするために、マッサージで流れを良くすることが大切。リンパを流すメリットやその方法を、専門家の高橋結子先生にお話を伺いました。

そもそも「リンパ」って何?

免疫細胞であるリンパ球を含んだリンパ液は、ヒトの身体中に血管のように張り巡らされたリンパ管の中を流れ、「余分な水分や老廃物などを集める役割」と「細菌やウイルスを倒して身体を守る役割」を担っています。体内をめぐりながら毒素や病原菌、老廃物を回収し、脇の下やももの付け根、首や耳の周辺などにあるリンパ節できれいな状態に濾過してくれます。こうしてきれいになったリンパ液はまた血液にのって体内を循環しています。

こうした役割を果たしているリンパ液ですが、現代社会では昔に比べて便利な生活になったおかげで日常的な運動量が減り、リンパ液が滞りがちになっていると、高橋先生は話します。リンパの流れが悪くなると、余分な水や老廃物が回収されず溜まったままになるのでむくみを引き起こすほか、細胞が活性化されず免疫力が下がるので風邪を引きやすくなったり、疲れやすくなることもあるのだそう。なんとなく体調がすぐれないなという時は、リンパの流れが悪くなっているのが原因の可能性もあるのです。

実践!セルフでリンパマッサージ

リンパ液の流れが滞っているのを身近に感じられるのは、足などがむくんだ時かもしれません。リンパマッサージをすることでむくみを解消できるほか、免疫細胞を活性化・増殖させ、免疫力を高めることにもつながります。今回の記事で正しいセルフマッサージを学びましょう。

ここでは、マッサージの効果がよりアップし、顔のむくみも取れるウォーミングアップと、むくみやすい脚のマッサージ方法を紹介します。「リンパマッサージでは、まず鎖骨下にあるリンパ管の出口を開けてあげることが大切」と高橋先生。力の加減は、気持ちいいと感じる程度で行うのがおすすめです。早速チャレンジしてみましょう!

※セルフマッサージ程度なら基本は問題ありませんが、持病をお持ちで心配な方は、行う前に主治医に相談してください。

ウォーミングアップ

STEP1 リンパ液の出口へ通じる「頸部リンパ節」を刺激
「狼の手」を作り、左右の顎の骨に沿って当てます。人差し指から小指の先が触れる部分を矢印のように優しくマッサージします。5回×3セット。
ポイント:皮膚の表面を強くこするのはNG。また、撫でるのではなく、皮膚を動かすように行うとGOODです。

STEP2 鎖骨下にあるリンパ管の出口を刺激
「指フック」をつくり、左右の鎖骨の上にあるくぼみに当てて、指先を掘るように動かします。5回×3セット。
ポイント:力の入れすぎに注意!

脚のむくみを取るマッサージ

数あるマッサージの中からセルフで取り入れやすい脚のマッサージをご紹介。脚のむくみに悩む方はぜひトライしてみてくださいね。

STEP1 ふくらはぎに螺旋を描いて刺激する
両手を「狼の手」にして、くるぶしからひざ下までをマッサージ。下から上へクルクルと螺旋を5回描きます。手前に引き上げるときは水をすくうイメージで力を入れてリンパ液を流します。左右3セット。

STEP2 親指ですねの骨沿いをスライドアップ
両手の親指を曲げて2本一緒にすねの骨(脛骨)に当てます。ほかの4本の指は、ふくらはぎを包み込むようにしっかりと掴みます。すねの骨の外側を、足首から膝に向かってスライドさせましょう。左右5回ずつ。痛気持ちいいくらいの力でOKです。

STEP3 「三陰交」のツボを押す
左足の内側のくるぶしの骨に右手の小指を置き、指4本分ほど上にある「三陰交」のツボをおします。ここは、生理痛などを和らげる効果があるといわれています。ポイントは、親指で強めに押すこと。左右5回ずつ。STEP2と同じく、痛気持ちいいくらいの力で行いましょう。

STEP4 ふくらはぎをスコップで掘るように刺激する
両手を、脚の後ろで「狼の手」にして、右手の中指と左手の中指をくっつけます。その形のまま、アキレス腱あたりに指先を当て、指の腹を密着させます。指先をスコップのように掘るイメージで動かし、ひざの裏側までほぐし上げます。左右5回×3セット。

最後に、STEP1のマッサージをもう一度やるのもおすすめです。

マッサージを日課にしてココロも身体も元気に

「マッサージのタイミングは、一般的にお風呂上がりがいいと言われていますが、いつでもOKです。ただ、毎日同じ時間に行うようにすると忘れないので良いですね」と高橋先生。毎日行うのがベストですが、週1回や週2〜3回のペースでも問題ありません。無理のない範囲で、続けることが大切です。

さらにおすすめしたいのは、アロマテラピー用のオイルを使って行うこと。滑りが良くなりマッサージがしやすくなったり、香りを楽しみ、リラックスすることもできます。オイルの量は少し肌が潤う程度使用しましょう。

免疫力が高まったり、むくみが取れたり、リラックスできたり、身体にもココロにもいいリンパマッサージ。日々の生活の中に取り入れてみてくださいね。

高橋結子先生
リンパマッサージの施術のほか、技術研修やセミナーを開催する「アロマプレッシャー」代表。リンパドレナージュ専門家・フィジオセラピスト。米国ハワイ州公認ライセンスセラピスト。一般社団法人沖縄県がん患者会連合会療養支援相談員。フランスとハワイでリンパドレナージュを修得。アロマプレッシャーの技術及びクリニカルアロマセラピーの商品開発を行うほか、安全なリンパマッサージの方法や正しい知識を伝えるために、「リンパ浮腫ケア・セルフマッサージ」講習会の指導や、全国から集まるセラピスト、理学療法士、看護師、柔道整復師などの方々へ、アロマプレッシャー創始者のダニエル・マードン先生と共に指導している。
http://www.aromapressure.jp/

著書「ダニエル・マードン式モダンリンパドレナージュ リンパの解剖生理学」(BABジャパン)/共著「身体療法の生理学とボディワーク」(BABジャパン)、セルフマッサージ本として「ダニエル・マードン式アロマプレッシャー脚・ヒップ・腕編」(扶桑社)ほか多数

「プロテイン」の選び方

筋肉や肌、髪を構成する重要な栄養素であるタンパク質。近年、その重要性に注目が集まり、手軽に摂取できるプロテイン商品が数多く発売されています。「プロテインって健康のためには誰もがとった方がいいの?」「何を基準に選べばいい?」「摂取すべきタイミングは?」など、プロテイン商品の基礎知識を紹介します。

プロテインはどんな人に必要?またその種類は?

ドラッグストアやコンビニエンスストアへ行くと、たくさんの種類のプロテイン商品が並んでいますが、そもそもどんな人が何のために摂取する必要があるのか、管理栄養士の友利由希さんに聞いてみました。

「基本的にはサプリメントと同じと考えて良いと思います。毎日の食事で栄養バランスを考えて、食事からタンパク質がしっかりとれている人にとっては特に必要ありません。ただ、例えば三食は食べているけれど炭水化物に偏りがちでタンパク質不足だなと感じる人や、筋肉をつけることを強化したい人などは摂取しても良いと思います」とのこと。

プロテインの種類は、原料で大きく3つに分けられます。

まず一つ目は「ホエイ」。ヨーグルトの上澄みにできる液体のことで「乳清」とも呼ばれ、知っている人も多いかもしれません。牛乳を原料とし、吸収が早いのが特徴です。

二つ目は「カゼイン」。ホエイと同じく主な原料は牛乳で、生乳を構成するタンパク質の80%をこのカゼインが占めています。一つ目のホエイもカゼインも主原料は牛乳ですが、ホエイは牛乳から乳脂肪分やカゼインを取り除いたもので水溶性、カゼインは乳固形分が主要成分で不溶性。この違いから、カゼインは身体への吸収速度がゆっくりという特徴があります。

そして三つ目は「ソイ」。大豆を原料とした植物性のプロテインです。消化吸収のスピードはゆっくり。満腹感が続き、吸収されるまでに時間がかかり、プロテインを構成するアミノ酸を血液中に長時間維持させます。また、大豆には女性ホルモンに似た物質が入っていることもあり、美容効果が期待できるというメリットもあります。

選ぶポイントと飲むタイミング

友利さんによると、プロテインは原料の違いと、その吸収スピードの特徴をふまえて選ぶと良いとのこと。

カゼインとソイは摂取してから吸収されるまでの時間が長いので、満腹感が長く続きます。そのため、食事でタンパク質が足りないと感じた時や体型維持などを目的とした場合に良いでしょう。食事でタンパク質が足りていないと思った時は食後が摂取のタイミング。軽いトレーニングをした場合はトレーニング後に摂取するとトレーニングで損なわれたタンパク質をリカバリーすることができます。一方、ホエイは摂取後の吸収スピードが速いので、筋肉をつけたい人向け。筋トレをした後に摂取することで、筋肉の組織が破壊されたところへアミノ酸をすぐに補うことができ、筋肉量のアップを図ることができます。

プロテインの商品には、粉末状で水や牛乳などと混ぜて飲むもの、パックに入ったドリンク、ゼリー状でチューブタイプのパッケージに入っていてそのまま飲めるもの、そしてお菓子のように手軽に食べられるバータイプなどがあります。

味もプレーン、ココア、バナナなど、飲みやすさや食べやすさを重視しバラエティに富んでいるほか、プロテインでありながらその他の栄養素も摂取できる工夫がされているものも多数あります。味や値段も合わせて検討してみるのが良さそうです。

まずは自分に必要なタンパク質量を知ってから

プロテイン商品を食生活に取り入れる場合、まず知っておきたいのは自分にとって必要なタンパク質量。年齢や体重、一日の活動量から必要量を割り出せる、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」をもとに調べてみましょう。自動で計算してくれる便利なサイトを活用するのもおすすめです。

参考記事:身体に必要な基本の栄養素「P・F・C」を知る

身体を構成する重要な栄養素であるプロテインですが、覚えておきたいのはプロテイン商品を食べたり飲んだりしただけでは筋肉がつくわけではないということ。運動や摂取するタイミングなど、必要に応じて組み合わせることで効果的な身体づくりにつながります。また、「一食置き換え」などの商品もありますが、これはタンパク質を増やすというよりも摂取エネルギーを抑える意味合いが強いもの。それによってダイエット効果はあるかもしれませんが、健康な身体づくりという点においてはやはり栄養バランスを考えた食事をとる方がおすすめです。プロテイン商品は目的に合わせて取り入れるのはもちろんOKですが、あくまでもサポート的な役割であることを忘れずに。それぞれの特徴を理解して、上手に取り入れましょう。

※プロテイン商品にはプロテイン以外の栄養素が添加されていることもあります。それによりある栄養素を過剰摂取することになり健康被害を被る場合もあるので、食事を含めた適切な摂取量を守るようにしましょう。

監修:友利由希(管理栄養士、日本スポーツ協会公認スポーツ栄養士)

公式マスコット「わお」って?