体力アップに効果的な運動とは?(監修:IDEAL沖縄 上原弘樹さん)

kenko ISLAND63号「体力 免疫 強い身体」で、「体力アップ」をキーワードに、4種の運動を紹介してくれたパーソナルトレーナーの上原弘樹先生。ここでは、「体力を上げるためにはやっぱり運動って大事なの?」という素朴な疑問をはじめ、体力アップに必要な要素について教えてもらいました。また、誌面では載せきれなかった運動4種の理想の頻度や注意点も紹介しているので、要チェック!

運動をしないと体力は落ち続けていく

「体力をつけるには運動が大切」となんとなく分かっている人も多いと思いますが、そもそもなぜ運動が必要なのでしょうか。

「実は、体力は20代がピークと言われていて、そこから加齢とともに少しずつ落ちていきます。その理由の一つが筋肉量の低下。筋肉量が減ると、運動機能が低下するだけでなく、疲れやすくなったり病気や怪我のリスクも増えてしまいます。また、体温が1℃上がると免疫力が最大5〜6倍上がると言われていて、筋肉量が増えることで体温も上がるので、免疫力アップにもつながります。運動をすることで、体力を上げることができるのです」。

体力アップにはどんな運動でもいいのでしょうか?

「体力アップのために必要な要素として、筋力・柔軟力・持久力があげられます。運動の種類によって効果的に得られるものが異なるので、ひとつの運動をし続けるよりも、数種類をバランスよく行うことがおすすめです」。

無理なく生活に取り入れたい運動4種

ここでは、誌面で紹介した運動がそれぞれどのような効果が得られるのかと、どのタイミングで、どれぐらい行った方がいいかを紹介します。

1.自重筋トレ
自分の体重を負荷にして行う自重筋トレ。自重筋トレは週2〜3回が目安。まずは週に1回からでもOKです。筋トレは、筋肉を破壊させて回復する時に成長して筋肉量が増えます。トレーニングの間隔が短いと筋肉量が増えないだけでなく、怪我や免疫力低下の原因にもなるので、筋肉痛の時は、無理せずに身体を休めてください。

kenko ISLAND63号で紹介した、スプリットスクワット

2.LISSトレーニング
「LISSトレーニング」は、「一定低強度の有酸素トレーニング」のこと。例えば、ウォーキングやサイクリング、ヨガなど身体にあまり負荷のかからない動きを繰り返し行う運動のことを言います。身体の柔軟性や持久力を上げたい、脂肪を燃焼させたい人におすすめです。LISSトレーニングで意識してほしいのは、20分以上運動を続けること。これは、身体のバランスを整えるコルチゾールというホルモンが20分以上運動することによって分泌されるから。ストレスへの対抗や炎症を抑えるなどの役割を果たします。LISSトレーニングは毎日行ってもOKです。

LISSトレーニング

3.コレクティブエクササイズ
猫背や反り腰など、日常生活を通してクセになってしまった身体の歪みを直す「コレクティブエクササイズ」。柔軟性を上げるだけでなく、正しい姿勢に直すことで筋肉もつきやすくなり、怪我の防止にもつながります。また、歪んだ姿勢による身体の不調も改善できます。運動前のほか、朝起きてから行うと、身体の歪みを直してから良い姿勢で一日をスタートできるのでおすすめです。

猫背の解消に効果的な「壁付き腕上げ」

4.筋膜リリース
第二の骨格とよばれる筋膜は、全身に張り巡らされている筋肉を包む薄い膜のこと。姿勢の悪さや長時間同じ姿勢を取り続けていると筋膜と筋肉がくっついてしまい、筋力や柔軟性が低下し、痛みの原因に繋がります。筋膜リリースをすることで、身体の柔軟性がアップするだけでなく、コリが減ったりと身体のケアができます。

筋膜リリースは、身体のケアに繋がるので毎日行ってもOK。上半身から下半身にかけて、血の巡りを良くするイメージで行いましょう。注意したいのは、痛みを感じたらやめること。関節や骨、首を押すと怪我の原因になるので押さないでください。

筋膜リリース

運動は、なるべくこまめに行うことが大切。自分の生活リズムにあわせてぜひ取り入れてみましょう。

上原弘樹先生

1993年生まれ。「もっと野球が上手くなりたい」というきっかけで、小学校4年生の時に筋トレをスタート。筋トレによる身体の変化にやりがいを覚える。大学卒業後、学校教員になるが、パーソナルトレーナーの仕事に惹かれてその道へ。2019オールジャパンメンズフィジーク3位入賞。現在はパーソナルジムIDEAL代表トレーナーを務める。

IDEAL沖縄
住所/沖縄県那覇市銘苅1-2-17(4-A)

身体を整える「食養生」前編 〜まずは基礎を知ろう!〜

その人の体調や体質にあった食生活をすることで健康を保つ食養生(しょくようじょう)について、食養生コーディネーターの住吉実那さんに聞きました。前編は、食養生を実践するために知っておきたい基礎について、後編は食養生の実践方法を解説します。

食養生って何?

「食養生」とは、健康維持のために何をどのように食するのがいいのかという多くの先人たちから受け継がれている英知のこと。日本最古の医学書「医心方」にはさまざまな医説や食養法が多数紹介されています。食養生が他の食事療法や健康法と違う点は、健康を維持するために大切なのが食べ物だけではないという点だと住吉さんは話します。

日頃の生活習慣も重要で、せっかく食事に気を付けても、ストレスや過労、不眠などで健康が損なわれることもあります。食養生の根本には食べ物を含め5つの大切な要素があると住吉さんは言います。「食養生を構成するのは『心、太陽、空気、水、食物』で、この並びの順に健康への影響力が強いとされています。まずは『心』が重要。例え食べ物に気を使っていても、イライラしているときは健康とはいえないので、まずはストレスを解消して『心』を整えることから意識するといいですね」。

健康の指標となる「気血津液(きけつしんえき)」

食養生のベースの考え方である漢方では、健康かどうかの指標となるのが「気血津液(きけつしんえき)」といわれています。これは人の体を構成する基本的な物質を表していますが、それぞれの役割は以下のようになります。

「気」
目に見えない活力や、人間が持つ器官や組織の代謝のことです。不足したり乱れたりすると、体力や抵抗力が落ちて、疲労や頭痛などの不調が起こります。

「血」
細胞に酸素や栄養分を届ける役割を持つ血液を指します。乱れると、貧血や冷え、生理痛などの不調が起こります。

「津液」
人間の身体に巡っている血液以外のすべての水、つまり汗やリンパ液などの体液を指します。流れが滞るとむくみに繋がり、肌のハリや髪のツヤが失われてしまいます。

また、気血津液の働きは連動していて共に影響し合います。「血」と「津液」は栄養を巡らせてくれ、身体を潤してくれる大切な要素。単体では動けませんが、「気」が動力となり、体内を巡るといわれています。この気血津液のバランスが取れた状態を維持できている状態が「健康」といえます。こうした健康の要となる「気血津液」のバランスをとるための方法が食養生です。

食養生で病気になる前に軌道修正

食養生の基本的な考え方のひとつに、病気になったものを治すのではなく、病気をしない身体をつくるというものがあります。なんとなく不調を感じる「未病」の状態はのちに生活習慣病などに繋がるといわれているので、早めに気づいて対処することが必要です。後編では、実際の食養生の方法を解説します。ぜひ参考にしてみてくださいね。

後編の記事はコチラ:https://www.islandweb.okinawa/syokuyouzyou2/

住吉実那さん
R.KANASA 株式会社代表。食育アドバイザー、日本食事療法士協会・食養生コーディネーターの資格を持つ。自身と息子が重度のアレルギー体質を持ち、病院の治療だけでは治らなかったことを体験し、食の改善と体質改善を始める。食養生に関する講座の開催や、日常生活に取り入れやすい食養生の情報をSNSで発信している。
〈Instagram〉biyoshoku_mina

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