食物アレルギーのはじまりは皮膚から!?

カラダ 2025/03/17 55 views

食物アレルギーは、私たちにとって身近なアレルギーの一つですが、その原因が皮膚と密接に関連していることはご存知ですか? アレルギーとは、本来は無害な物質(アレルゲン)が体内に過剰に入ってきたことで、免疫系が過剰に反応した状態です。身体にとって害ではないものも異物と捉え、それを排除しようとする過程で「Ig E抗体」が作られ、かゆみや発疹などといったアレルギー症状を引き起こすのです。

従来、食物アレルギーは、アレルゲンが腸を通じて体内に入り、免疫系が異物と認識することで発症すると考えられていました。ですがこれに加えて、最近の研究では、皮膚のバリアが低下している部分からアレルゲンが侵入し、免疫系が反応する「経皮感作」も、食物アレルギーを引き起こすことがわかっています。

肌からアレルゲンが侵入するメカニズムとは?

皮膚からアレルゲンが侵入するメカニズムとは、どのようなものなのでしょうか。 実は、生後1年までの乳児は、免疫反応に関わる物質「IgE抗体」を体内にほとんど持っていない状態。大人よりも薄くて乾燥しやすい赤ちゃんの肌は、外部の刺激にとても敏感で、引っ掻き傷や乾燥によるかぶれなどでバリアが弱っている部分から、異物が体内に入ってしまい、免疫機能が反応することでIgE抗体がどんどん作られていきます。その量がある一定に達し、免疫機能がアレルゲンの情報を記憶すると、同じアレルゲンが体内に入った時に、アレルギー反応が起こってしまいます。
 これは、ある食べ物を食べているうちに、その食べ物に対してアレルギー反応を示すようになる「経口感作」とは違い、皮膚でアレルゲンと認識されたものが、後々食べ物として消化管へ入ると食物アレルギーを発症してしまうというものです。
 また、アレルゲンの侵入経路によって引き起こされるアレルギー症状は異なり、皮膚からアレルゲンが侵入すると、アトピー性皮膚炎が悪化する可能性があるほか、鼻からアレルゲンが入れば花粉症、気道に入れば気管支喘息を起こす可能性があります。

アレルギーの予防方法は?

空気中には、ほこりや花粉など、アレルゲンとなりうるさまざまなものが浮遊しています。ある研究によると、乳幼児期から肌をしっかりと保湿することで、保湿していない場合と比べてアトピー性皮膚炎の発症リスクが低下する可能性があると言われています。なので、幼いうちから肌を保湿して乾燥を防ぎ、バリア機能をキープしましょう。
 また、子どもだけでなく大人も、皮膚の湿疹などで肌のバリア機能が失われた状態ではアレルゲンが侵入してしまうことがあるので、日常的に保湿を心がけることが大切です。ただし、「とにかく保湿する」というよりは、保湿剤の使用量や使用頻度は、乾燥の程度に応じて適量を使用することがポイント。ベタつく、テカるなど、肌の油分が多い人は洗って油分量を減らし、保湿を。反対に、肌がかさつく、つっぱった感じがする人は保湿するなど、肌の状態を把握しながらケアしましょう。皮膚に異常がある場合は、必要に応じて皮膚科を受診しましょう。

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監修    
琉球大学大学院医学研究科・皮膚科
山口さやか 先生
日々、さまざまな皮膚疾患の治療に携わる。専門は皮膚感染症。特に、アタマジラミの治療・開発に力を入れている。
https://hifuka.skr.u-ryukyu.ac.jp/
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