あるある症状に対処!お悩み別ツボ押し
カラダ 2025/04/15 227 views

新生活のスタートや季節の変わり目など、何かとせわしいこの時期は、心身の不調も現れやすいもの。頭痛や肩こり、不眠や眼精疲労など、ちょっとした不調を抱えている人もいるかもしれません。今回は、そんな“あるある症状”に対処するツボ押しの方法やポイントについて、沖縄統合医療学院 鍼灸学科教員である千倉細香先生に教えてもらいました。
そもそもツボって何・・・?
「ツボとは、古代中国で生まれた2000年以上の歴史がある東洋医学の治療法の一つ。古代の人たちが、身体のいろいろな部位に不調を改善するポイント(ツボ)を見つけ、押してみたり、石で擦ったり、葉っぱに火をつけてあててみたりして治療したことが始まりだと言われています」と千倉先生。現在は、WHO(世界保健機関)が身体にある361個ものツボに対し、以下のような症状や病気の治療効果や有効性があるとして定めています。
神経系疾患
◎神経痛、自律神経失調症、頭痛、めまい、不眠、神経症、ノイローゼ、ヒステリーなど
運動器系疾患
◎腰痛、五十肩、腱鞘炎、外傷の後遺症(骨折、打撲、むちうち)など
呼吸器系疾患
気管支炎、喘息、風邪、およびそれらの予防
消化器系疾患
胃炎、消化不良、胃下垂、下痢、便秘などの胃腸症状、肝炎など
そのほかにも、更年期障害や生理痛、月経不順といった婦人科系疾患、中耳炎や鼻炎、蓄膿といった耳鼻咽喉科系疾患をはじめ、あらゆる症状に対し有効性があることが認められています。
「身体には、経絡(けいらく)という道のようなものが14本張り巡らされています。これは“気”と呼ばれるエネルギーの通り道で、そのルート上にあるのがツボです。例えるなら、道路がわかりやすいかもしれません。58号線や329号線など県内にはいろいろな道が通っていますよね。ツボは、その道中にあるバス停のようなものです。これらの道はそれぞれが特定の臓器と深く関連しており、ツボを押すことで特定の部位や関連する不調を解消する効果があるのです。押すと痛い、あるいは痛気持ち良い場合は、滞っているサインですね」

症状別、ツボ押しのポイント
ではさっそく、症状に合わせたツボ押しの方法について、教えてもらいましょう。
まずは押し方や力加減などのポイントについて千倉先生に尋ねてみました。
「ツボを押す際は、必ずこの指でなければならない、押し方はこうでなければならないという決まりはありません。親指の方が力を入れやすいのでおすすめですが、どの指でも、あるいは1本でも2本でも構いませんし、ぎゅーっと押し続けても、ぐりぐりと押しても、強弱をつけた押し方でもOKです。自身が痛気持ち良いと感じる押し方を見つけてみてください。また、ツボに対し指を垂直に押す以外にも斜めにしてみたりと押す角度を変えてもいいです。それから、多少ツボからずれても構いません。自分にとって痛気持ち良い場所が自分のツボだと考えましょう」。
また、千倉先生によると、押す回数や秒数などは特に制限はありませんが、長く押せば押すほど症状が軽減するかというと、それは違うといいます。1日の中で気づいた時に左右数回ずつ押して、数日続けてみるのがおすすめです。症状が和らいだら回数を減らすなど、症状に合わせて取り入れてみましょう。

■頭痛
太衝(たいしょう)
頭痛だけでなく、冷え、不眠、二日酔いにも効果のあるツボ。

場所:足の親指と人差し指の骨の合流地点にあるくぼみの部分
探し方:親指と人差し指の付け根から溝を指でなぞっていくとぶつかるくぼみが太衝
以下の症状に多く当てはまる人におすすめ
片頭痛がよくある、ストレスを抱えると頭痛が起こる、ぎゅっと締め付けられるような頭痛がある、イライラする、怒りっぽい、不安や憂うつ感がある、冷えやのぼせを感じることが多い、不眠がちといった症状のある人は、気の巡りが滞っている傾向あり。これらの症状がある人は上記のツボ押し以外にも、アロマの香りに癒されたり、ストレッチを取り入れるなど、リラックスして心と身体をゆるめる時間を作るのもおすすめです。
陰陵泉(いんりょうせん)
頭痛のほか、むくみ解消やお腹の冷え、下痢、消化不良などの症状にも効果あり。

場所:膝の内側のすぐ下あたり
探し方:膝を軽く曲げ、くるぶしの上あたりからすねのふちに沿って指でなぞると当たるくぼみの部分が陰陵泉
以下の症状に多く当てはまる人におすすめ
湿度や気圧の変化によって頭痛を起こしやすい(体調が天気に左右される)、よくめまいがする、痰が多い、身体が重だるい、むくみやすい、いつも眠いなどの傾向がある人は、体内の水分が必要以上に溜まっている、あるいは必要なところに水分が行き渡らないなど、水分バランスが崩れている可能性あり。下半身に老廃物が溜まり、むくみやすい傾向も。
陰陵泉だけでなく、すねの骨のふち部分を指で押しながら一番痛気持ち良いと感じるポイントを探すのもおすすめです。
また、スクワットやウォーキングなど運動を取り入れて下半身の筋力を強化することで、これらの症状緩和が期待できます。
■肩こり・首こり
首こりや肩こりは、筋肉の過緊張状態が続くことで起こりやすい症状。普段から肩に力が入ってしまう人、デスクワークやPC作業など、1日中同じ姿勢で過ごすことが多い人など、上半身の筋肉が凝り固まっている傾向がある人におすすめです。
合谷(ごうこく)
ポピュラーなツボで、上半身の血流を良くするツボといわれており、肩こりや首こりなどといった筋肉の緊張によって起こる症状や、血流の滞りや緊張性の頭痛にも効果あり。


場所:人差し指の付け根の下あたりの手の甲
探し方:人差し指の付け根の下あたりから手首まで伸びる骨のちょうど真ん中あたり。骨側に向けて押すとより効果的
肩井(けんせい)

場所:首の付け根と肩先の中間あたり
探し方:首の根から肩先の中間あたり。触った時に最も盛り上がった部分。ツボに対し中指で垂直に押すと押しやすい。
■目の疲れ
合谷(ごうこく)
合谷は痛みに対して効果があるツボとも言われている。上記で紹介したように、上半身の血流を良くしてくれるので、目の疲れにも効果的。

場所:人差し指の付け根の下あたりの手の甲
探し方:人差し指の付け根の下あたりから手首まで伸びる骨のちょうど真ん中あたり。骨側に向けて押すとより効果的
■不眠
内関(ないかん)
心包経(しんぽうけい)と呼ばれる経絡にあるツボで心臓や心に働きかける。副交感神経にアプローチすることで不眠や不安、緊張緩和にも効果があるといわれています。また、乗り物酔いやつわりにも良いとされ、乗り物酔いしやすい方は、乗る前にツボを押すのがおすすめです。

場所:手首の下中央あたり
探し方:手首から指3本分下にあるのが内関
千倉先生によると、なかなか寝付けないという人だけでなく、十分に睡眠時間をとったのに熟睡した気がしない、寝ても疲労感が取れないなど、快眠できていない人も、不眠の一つだと言えるとのこと。質の良い睡眠をとるためにも、上記のツボのほか、睡眠前はスマホを見ない、照明を暗めにしてリラックスするなど、日常を見直してみてはいかがでしょうか。
まとめ
いかがでしたか?ツボ押しは仕事や家事の合間などいつでもどこでもパッとできるので、気が向いた時にこまめに続けるのがポイントです。
「ツボは、万人に同じように効くものではありません。即座に症状がやわらぐ人もいれば、日々続けるうちにじんわりと効いてくる人もいます。あるいは違ったところにその人のツボがあることも往々にしてあります。また、頭痛ひとつとっても、血の巡りが滞っていることが原因であったり、気圧や湿度の変化に関連していたり、その時の身体の状態によっても対応するツボが変わってきますから、治療の際は症状だけでなく色々な角度から問診を取り、その方にあったケアをしていきます」と千倉先生。まずは身体からのサインに意識を傾け、気になる症状に対応するツボ押しを取り入れてみましょう。
また、沖縄統合医療学院の関連院である「わくわく鍼灸院」では身体や心の不調について相談に乗っています。気になる方は問い合わせをしてみてください。

監修
千倉 細香(ちくら さやか)先生
専門学校沖縄統合医療学院 鍼灸学科専任教員。鍼灸師。日々、生徒へ鍼灸に関する授業を行うほか、学校の関連院である「わくわく鍼灸院」の院長として治療に携わる。
https://ocim.jp/
わくわく鍼灸院:お問い合わせは下記の公式ラインから
