座りっぱなし対策、してますか?

カラダ 2024/04/09 1020 views

とつぜんですが、あなたは1日のうち何時間座ってるか考えたことはありますか?
デスクワークで8時間みっちり座っているという人や、ネットやテレビ、スマホ利用で自宅でもほとんど座っているという人もいるかもしれません。実は、海外の調査で日本人はアメリカやヨーロッパなど世界の20カ国と比べて1日の座位時間(座っている時間)がダントツで長いことがわかっています。世界の1日の平均座位時間が300分なのに対し、日本は平均420分と2時間も多いそうです。
「座りすぎは不健康になる」とWHO(世界保健機関)が声明を出すほど、座位時間の身体への影響が最近注目されています。

「世界20か国における平日の座位時間」出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/content/000656521.pdf)

今回は、健康運動指導士の金城史郎さんに、座りすぎの身体への影響や、対策方法について教えてもらいました。

キケン!座りっぱなしの本当の怖さ

実際に座る時間が長いことは身体にどんな影響があるのでしょうか?金城さんによると、“座りすぎは喫煙と同じくらい身体に悪い”と警鐘を鳴らす海外の論文もあるといいます。
「ある国の研究で、運動しているかどうかに関わらず、座位時間が長い人は短い人に比べて寿命が短くなると言われています」と金城さん。座りすぎによって活動量が低下すると体重増加や糖尿病、高血圧、がん、認知症などのリスクが上がることも分かっているそうです。また、座っている状態は筋肉が動かせず、血流が滞りやすいことや、座位によって身体が圧迫され血管に負担がかかることで、狭心症や心筋梗塞、脳出血や脳梗塞などといった死に関わる病気の危険性が高まると言われています。
 そのほかにも、座りすぎの影響は身体だけではないようです。
「仕事中の座位時間が長い人ほど、メンタルヘルスが悪化しやすいことに加え、仕事への熱意や活力、没頭といったワークエンゲージメントを下げるとも言われています。長時間座り続けることで仕事の効率が下がりやすいとも考えられているのです」。

座りすぎを減らす5つのヒント

心身への悪い影響を抑えるためには、座っている時間を短くすることが大前提。ですが「デスクワークだからどうしようもない・・・」と思う人もいるはず。そんな場合の対策を金城さんが教えてくれました。「心身への影響を最小限に抑えるために大事なのは、座っている状態をこまめにブレイク(中断)することです。そうすることで筋肉を刺激したり、滞っている血流を促すことができ、リスクを抑えることにつながります」と金城さん。職場や自宅で使える座りすぎを防ぐヒントを紹介してもらいました。できることから取り入れてみてくださいね。

・30分〜1時間おきに立ち上がる

トイレ休憩や水分補給などちょっとしたことでもいいので立ち上がり、座っている状態を中断しましょう。タイマーや座りすぎ防止アプリを利用したり、仕事への集中が途切れたタイミングで席を立つなど、自分に合ったルールを決めるのがおすすめです。

・スクリーンタイムの時間を設定

 私生活でテレビやスマホなどの利用を楽しんでいるとついつい時間が経ってしまうもの。スマホの利用時間や内訳、利用制限ができるスクリーンタイムの機能を利用し、スマホ使用時間を30分や1時間などと設定することで、こまめに休憩を挟み、身体を動かすようにしましょう。

・スタンディング◯◯を活用

 座って行う会議だけでなくスタンディング会議を取り入れたり、高さのある机やカウンターで立って作業する、コーヒーブレイクをスタンディングにするなど、職場の協力が必要ですが、立って過ごせる環境を取り入れるのも手段の一つ。スタンディング会議を取り入れると、話を簡潔に済ませられたり、若手社員が発言しやすくなったという事例もあるそうです。

・歩く&立っている時間をかせぐ

例えば、トイレは遠くのフロア(または別の階)を利用する、駐車場は目的地より少し遠い場所を利用する、バスや電車では座らずに立つなど、ちょっとの工夫で歩く・立つ時間をこまめにかせぎましょう。

・ストレッチやエクササイズを取り入れる

全身の筋肉の約7割は下半身にあるため、これらの筋肉を動かすことで滞った血液を巡らせることができます。デスクワーク中やちょっとしたスキマ時間でもできる簡単なエクササイズを取り入れてみましょう。

①膝裏伸ばし

 イスに少し浅く腰掛けて左膝を伸ばし、前かがみになって膝裏をストレッチ。膝が曲がらないように押さえてもOK。両方行う。


②かかと上げ

椅子に腰掛け、つま先を床につけた状態でかかとを浮かせる。この時、ふくらはぎの筋肉を意識するのがポイント。これを何回か繰り返す。
できる人は、かかとを持ち上げる際に、膝を手で押さえて負荷をかけることでより筋肉を刺激できます。

③膝伸ばし

椅子に座って片方の膝を伸ばし、足を地面と平行になるように上げる。そのままの状態でつま先を身体側へ伸ばすことで大腿四頭筋(太もも前部)を鍛えることができます。

いかがでしたか?金城さんによると、今回紹介したようなちょっとした身体活動でも十分意味があるのだそう。また、立ち上がって軽めにスクワットをしたり、その場で足踏みを行うことが出来ればなお良いそうです。
「私は運動習慣があるから大丈夫」と思っている人は要注意。運動習慣がある人でも、連続して座っている時間が長ければ運動による効果が低くなってしまうというデータもあるといいます。

たった1分でもいいのでコツコツとブレイクを取り入れ、座りすぎを予防しましょう!

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監修:金城 史郎さん
健康運動指導士
沖縄県健康づくり財団 アンチエイジング医療センターにて、利用者の運動サポートや生活改善のアドバイスを行い、県民の健康になる習慣づくりをサポートしている。
(一財)沖縄県健康づくり財団 アンチエイジング医療センター
沖縄県南風原町宮平212 https://www.ganjuu.or.jp/facility/antiaging/

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